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令和4年(2022年)3月5日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

オンライン診療リフィル処方に係る診療報酬について

日本医師会定例記者会見 2月9・16日

 中川会長は、2月9日開催の中医協総会で令和4年度の診療報酬改定に関する答申が取りまとめられたことを受けて、「オンライン診療」並びに「リフィル処方」に係る診療報酬に対する日本医師会の見解を説明した。

オンライン診療

 中川会長は、まず、これまでのオンライン診療に関する中医協での議論を振り返り、(1)公益委員の裁定による決着となったが、オンライン診療では対面診療との比較において、触診・打診・聴診等が実施できないことが明示されたことを受けて、対面診療とオンライン診療とでは、診療の対価に差を設けることは適当であるとされた、(2)診療報酬の水準については、結果的にオンライン診療に係る報酬が引き上げられたが、今後の中医協で引き続き調査・検証を行っていくことになった―ことなどを説明。日本医師会としても、より適切な水準を追求していくとした。
 また、今回のオンライン診療に関する診療報酬の算定要件については、医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限については要件として設定しないことが適切であると判断された一方で、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を踏まえて、「対面診療を提供できる体制を有すること」「患者の状況によってオンライン診療では対応が困難な場合には、他の医療機関と連携して対応できる体制を有すること」が求められたことに言及。オンライン診療が対面診療と適切に組み合わされた上で実施されるよう注視していくとするとともに、患者の安心・安全が損なわれたり、地域医療の秩序を混乱させるような事象が生じた場合には、期中であっても、速やかに診療報酬要件の見直しを要請する考えを示した。
 更に、中川会長は「オンライン診療は、対面診療と適切に組み合わせて行うことで、患者の安全性と利便性の両方を向上させることもできる」とし、日本医師会としても、オンライン診療を導入している医師やこれから導入しようとしている医師に、より安心してオンライン診療を利用してもらうことを目的として「オンライン診療導入の手引き」を作成中であることを明らかにするとともに、運用上のセキュリティー対策等についてもサポートしていく意向を表明した。
 また、今後については、「オンライン診療が営利追求の市場になることを認めず、心あるかかりつけ医の先生の診療の助けになるよう、必要な軌道修正も見据えつつ、育てていく」とした。

リフィル処方

 中川会長はリフィル処方の議論の前提として、「不適切な長期処方を是正しなくてはならないと一貫して主張してきた」と述べ、2016年度の診療報酬改定では、日本医師会の求めにより、30日を超える処方については、特に注意すべきであることが、改めて明確化されていることを説明。
 次に、リフィル処方箋をめぐる経緯として、財政当局の医療費抑制の狙いもあり、過去10年近くにわたって骨太の方針等でその導入を求められてきたこと並びに、2021年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2021」でも、改めて処方箋の反復利用について記載されたことに触れ、これらに対し、「日本医師会は症状が安定している慢性疾患の患者さんであっても、定期的に診察を行い疾病管理の質を保つことが重要であると主張してきた」と述べるとともに、「日本では医師法により医師に処方権がある。今回の診療報酬改定では、後藤茂之厚労・鈴木俊一財務両大臣合意でリフィル処方箋の導入が決まったが、両大臣合意でも、『医師の処方により』行うものであることが明示されている」と指摘した。
 その上で、中川会長は、「今回、両大臣合意を踏まえたリフィル処方箋の導入ということになったが、患者さんにとって、適切な治療が行われることについて、十分配慮した運用が現場でなされることを期待している」とし、「現行制度において、投薬日数は医師の裁量とされている。しかし、これまでも繰り返し主張しているとおり、長期処方にはリスクがあり、不適切な長期処方には是正が必要と考えている」との考えを示した。
 加えて、投薬日数の制限がなくても、医師は無制限には処方を行っていないとした上で、「リフィル処方箋という新しい仕組みができることによって、医師や患者さんの対応がこれまでと異なる可能性もある」と述べた。
 中川会長は最後に、「新しい仕組みを導入する際には、患者さんの健康に大いに関わるため、慎重の上にも慎重に、そして丁寧に始めることが望ましい」と強調し、重ねて理解を求めた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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