中川俊男会長は2月9日、中医協で令和4年度の診療報酬改定に関する答申が取りまとめられたことを受けて記者会見を行い、オンライン診療に係る診療報酬に対する日本医師会の見解を説明した。
中川会長は、まず、これまでのオンライン診療に関する中医協での議論を振り返り、(1)公益委員の裁定による決着となったが、オンライン診療では対面診療との比較において、触診・打診・聴診等が実施できないことが明示されたことを受けて、対面診療とオンライン診療とでは診療の対価に差を設けることは適当であるとされたこと、(2)診療報酬の水準については、結果的にオンライン診療に係る報酬が引き上げられたが、今後の中医協で引き続き調査・検証を行っていくことになったこと―などを説明。日本医師会としても、より適切な水準を追求していくとした。
また、今回のオンライン診療に関する診療報酬の算定要件については、医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限については要件として設定しないことが適切であると判断された一方で、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を踏まえて、「対面診療を提供できる体制を有すること」「患者の状況によってオンライン診療では対応が困難な場合には、他の医療機関と連携して対応できる体制を有すること」が堅持されたことに言及。オンライン診療が対面診療と適切に組み合わせた上で実施されるよう注視していくとするとともに、患者の安心・安全が損なわれたり、地域医療の秩序を混乱させるような事象が生じた場合には、期中であっても、すみやかに診療報酬要件の見直しを要請する考えを示した。
更に、中川会長は「オンライン診療は、対面診療と適切に組み合わせて行うことで、患者の安全性と利便性の両方を向上させることもできる」とし、日本医師会としても、オンライン診療を導入している医師やこれから導入しようとしている医師により安心してオンライン診療を利用してもらうことを目的として「オンライン診療導入の手引き」を作成中であることを明らかにするとともに、運用上のセキュリティ対策等についてもサポートしていく意向を表明。今後については、「オンライン診療が営利追求の市場になることを認めず、心あるかかりつけ医の先生の診療の助けになるよう、必要な軌道修正も見据えつつ、育てていく」とした。
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