閉じる

令和4年(2022年)9月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「認定医療法人制度の延長及び拡充」「医療用機器等の特別償却制度の延長及び改善」等の実現求める

 日本医師会はこのほど、「令和5年度 医療に関する税制要望」を取りまとめ、8月23日に開催した定例記者会見で担当の宮川政昭常任理事がその内容を説明した。
 今後はその実現に向けて、政府与党などに対して働き掛けを行っていくことになる。

 本要望は、日本医師会医業税制検討委員会で取りまとめられ、8月9日開催の令和4年度第14回常任理事会で決定したものであり、別掲の18項目で構成されている。
 記者会見でその内容を説明した宮川常任理事は、1の社会保険診療等に係る消費税問題について、「小規模医療機関等においては非課税のまま診療報酬上の補てんを継続しつつ、一定規模以上の医療機関においては軽減税率による課税取引に改めることを検討することを要望するものである」と述べるとともに、地域医療を守るために重要なことであるとして、引き続き、丁寧に議論していく意向を示した。
 2では、医業を承継する時の相続・贈与に係る税制の改善として、7項目の課題に関する改善要望を挙げているとし、特に(4)の「認定医療法人制度の延長及び拡充」に関しては、「令和5年9月で認定医療法人制度の期限を迎えることから、その期限の延長を実現することが重要になる」と強調した。
 また、3と4の「社会保険診療報酬に対する事業税非課税の存続」と「医療法人の事業税について特別法人としての軽減税率課税の存続」に関しては、「医療機関は本来、行政が担うべき公共的な保健予防活動をさまざまな形で担っている。地方税である事業税に係る現行の措置は、医療機関の地域貢献に対する措置としてふさわしいものである」と述べ、その存続を強く訴えた。
 6については、勤務環境を改善するために、ベビーシッター等の子育て支援サービスの費用を所得税の控除対象とする措置の創設を要望するものであると説明。また、8に関しては、医療機関の設備投資を支援する税制措置の改善として、医療用機器等の特別償却制度の延長等を求めるものであり、重要な項目であるとした。
 その他、14は引き続き、社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階制)の存続を、17では、新型コロナに対応する医療機関・医療従事者に対する税制措置をそれぞれ要望するものであるとした。
 その上で、宮川常任理事は、今回の要望を厚生労働省に提出するとともに、年末の「令和5年度税制改正大綱」決定に向けて、要望の実現のため、政府与党などに働き掛けを行っていくとして、その実現に強い意欲を示した。

令和5年度 医療に関する税制要望

医業経営

1 社会保険診療等に係る消費税について、小規模医療機関等においては非課税のまま診療報酬上の補てんを継続しつつ、一定規模以上の医療機関においては軽減税率による課税取引に改めることを検討すること。
―消費税―
2 医業を承継する時の相続・贈与に係る税制の改善。
(1)医療法人の出資に係る相続税及び贈与税の納税猶予制度の創設。
(2)医療法人の出資の評価方法の改善。
(3)基金拠出型医療法人における負担軽減措置の創設等。
(4)認定医療法人制度の延長及び拡充。
(5)出資額限度法人の持分の相続税・贈与税課税の改善。
(6)個人版事業承継税制の改善。
(7)新たな医療法人の形態についての検討。
―相続税・贈与税・所得税―
3 社会保険診療報酬に対する事業税非課税の存続。
―事業税―
4 医療法人の事業税について特別法人としての軽減税率課税の存続。
―事業税―
5 訪日外国人患者の増加に対応する所要の税制措置。
―法人税・相続税・贈与税・固定資産税―

勤務環境

6 少子化対策及び、病院等に勤務する医療従事者の子育て支援並びに勤務環境を改善するため、ベビーシッター等の子育て支援のサービス利用に要する費用を、税制上の控除対象とする措置を講ずること。
―所得税―

健康予防

7 たばこ税の税率引き上げ。

―たばこ税・地方たばこ税―

医療施設・設備

8 医療機関の設備投資を支援する税制措置の改善。
(1)医療用機器等の特別償却制度について、中小企業経営強化税制と同等の措置が受けられるよう、以下の措置を講ずること。
①医療用機器の特別償却制度について、適用対象となる取得価額を160万円に引き下げ、10%の税額控除又は即時償却の選択適用とするとともに、適用期限を延長すること。
②勤務時間短縮用設備等に係る特別償却制度及び構想適合病院用建物等に係る特別償却制度について、税額控除の導入、特別償却率の引き上げの措置を講ずるとともに、適用期限を延長すること。
(2)中小医療機関の設備投資を支援するため、以下の①又は②のいずれかの措置を講ずること。
①中小企業経営強化税制の医療保健業についての対象設備に、医療保健業の用に供する医療用機器及び建物附属設備を追加するとともに、適用期限を延長すること。
②①と同等の新たな税制措置を創設すること。
(3)医療用機器について、(1)①の医療用機器に係る特別償却制度と(2)の措置の選択適用ができるようにすること。
(4)中小企業投資促進税制の適用期限を延長すること。
―所得税・法人税―
9 病院・診療所用の建物の耐用年数を短縮。
―所得税・法人税―
10 医療機関が取得する償却資産に係る固定資産税についての所要の税制措置。
(1)生産性向上特別措置法による固定資産税軽減措置について医療法人等の非営利法人を適用対象に加えるとともに、適用期限を延長すること。
(2)医療機関が取得する新規の器具・備品や建物附属設備などの償却資産の投資に係る固定資産税軽減措置を全国一律の要件で適用する措置として講ずること。
(3)固定資産税の償却資産の申告期限を法人税申告期限と統一すること。
―固定資産税―
11 医師少数区域等に所在する医療機関の固定資産税・不動産取得税に係る税制措置の創設。
―固定資産税・不動産取得税―
12 医療機関の防災・減災対策を支援するため、以下の措置を講ずること。
(1)医療機関が取得した耐震構造建物、防災構造施設・設備等に係る税制上の特例措置を創設すること。
(2)中小企業防災・減災投資促進税制について医療法人等の非営利法人を適用対象に加えるとともに、適用期限を延長すること。
―所得税・法人税・固定資産税・不動産取得税―
13 地域医療構想実現に向けた再編計画に係る税制措置の延長等。
(1)登録免許税軽減措置の適用期限を延長すること。
(2)固定資産税軽減措置を新たに講ずること。
―登録免許税・固定資産税―

その他

14 社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階制)存続。
―所得税・法人税―
15 公益法人等に関わる所要の税制措置。
(1)医師会について
  開放型病院等の法人税非課税措置の拡充、開放型病院等の固定資産税等非課税措置の恒久化、その他の措置。
(2)公益法人等への課税強化を行わないこと。
(3)一定の医療保健業を行う非営利型法人等に係る固定資産税等軽減措置及び公益目的事業として行う医療保健業に係る固定資産税等軽減措置。
―所得税・法人税・相続税・登録免許税・固定資産税・不動産取得税―
16 社会医療法人・認定医療法人等の認定要件等における補助金収入の取扱いの見直し。
―法人税・相続税・贈与税・固定資産税―
17 新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関・医療従事者に対する税制措置。
―所得税・法人税・贈与税・固定資産税―
18 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者に対する税制措置。
―所得税・法人税・事業税・固定資産税・他―

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる