松本吉郎会長は9月28日、記者会見を行い、自院での診療以外にも「地域にどっぷりつかり」ながら、それぞれの地域で連携して、面として医療を支えている医師達に深い感謝の意を表明した上で、その医師の役割について、日本医師会の考え方を解説した。
松本会長はまず、地域医療について、「現状では、新型コロナウイルス感染症の医療に注目が集まっているが、各地域の医師達は従来の日常診療も地道に行っており、これらの地域医療が日本の医療を支えている」として別掲の活動を紹介した。
また、松本会長は、「国民の健康と生命を守るため、地域にどっぷりつかりながらさまざまな取り組みを行っている医師達の活動を後方から支えているのが、まさに医師会活動である」と指摘。地域の医師会はその他、例えば予防接種・抗体検査を全国どこでも受けられるよう取りまとめ、医療機関情報の変更等にも尽力しているとして、医師会活動の重要性を強調した。
その他、医師会が開業医の団体であると言われることについては、日本医師会員の約半数は勤務医であることを挙げ、「現在はそのような状況にはない」と明確に否定。「今後は、医師会の組織力強化のためにも勤務医の先生方の入会促進が重要になる」との認識を示すとともに、「勤務医が地域で開業するに当たり、多岐にわたる医師会活動に参加し、地域にどっぷりつかり、地域に根差した取り組みを進めることが、住民が安心して暮らすことができるまちづくりへの貢献にもつながる」として、勤務医の地域医療活動への更なる参画に期待を寄せた。
記者との質疑の中で今回、地域に根差した医師の活動について説明した趣旨を問われた松本会長は、「医師会の活動とともに、全国の医師はコロナ対応や通常の医療に従事するばかりでなく、自分の医療機関以外のさまざまな仕事を分担しながら、みんなが連携して面として地域医療を支えているということを国民の皆さんにも知って頂きたいと考えたからだ」と説明した。
1.地域の時間外・ 救急対応 |
平日夜間・休日輪番業務、地域行事の救護班、在宅当番医、休日夜間急患センター、電話相談業務など(災害時には救護所・避難所への巡回診療、感染症拡大時には検査センターへの出務など自らの地域を守る活動) |
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2.行政・医師会等の公益活動 | 医師会・専門医会・自治会・保健所関連の委員、警察業務への協力、防災会議、地域医療に関する会議、地域ケア会議の出席、障害者認定審査会、介護保険認定審査会など |
3.地域保健・ 公衆衛生活動 |
母子保健、乳幼児保健(1歳6カ月児健診・3歳児健診)、学校保健(学校健診、学校医活動)、学校健康教育(性教育、がん教育、禁煙・薬物教育等)、産業保健(地域産業保健センター活動、職場の健康相談、産業医活動)、事業主健診(特定健診・特定保健指導)、高齢者保健(高齢者健診・認知症検診)、予防接種(定期・その他)、がん・成人病検診、市民公開講座(健康講座・介護教室)、精神保健、健康スポーツ医活動など |
4.多職種連携 | 訪問診療等の在宅医療ネットワークへの参画、介護保険関連文書の作成(主治医意見書等)、多職種との会合(ケアカンファレンス等)、ACPなど |
5.その他 | 看護師・准看護師養成所、医師会共同利用施設への参画、高齢者の運転免許に関する診断書の作成、成年後見人制度における診断書の作成、死体検案、医療DX、医療GX、高齢者・障害者施設への対応など |
関連資料
問い合わせ先
日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)