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令和4年(2022年)12月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の現況等について

日本医師会定例記者会見 11月30日

新型コロナウイルス感染症の現況等について

新型コロナウイルス感染症の現況等について

 松本吉郎会長は、(1)新型コロナの感染状況、(2)季節性インフルエンザとの同時期の流行、(3)都道府県医師会の年末年始の取り組み―について説明した。

感染者数を抑えていくことが必要

 (1)では、最近の新規感染者数について、「第7波の時のような爆発的な感染者数の上昇カーブではないものの、連日約10万人規模の新規感染者数となっている」とするとともに、BQ.1系統やXBB系統などの新たな変異株が占める割合の増加についても注意が必要と説明。一方で、これらの変異株はオミクロン株の派生型であることから、「現在接種が進められているオミクロン株対応ワクチンによる重症化予防効果が期待できるため、ワクチン接種の一層の推進が重要」と強調した。
 また、地域差が見られるものの、病床利用率は全国的に上昇傾向にあり、重症者数と死亡者数も増加しつつある中、特に重要なこととして各地域における新型コロナの病床利用率を挙げ、「今後、新型コロナにおける重症患者が増えることによって一般医療が制約されることのないよう、感染者数を抑えていくことが必要」と述べた他、今後の変異株の置き換わりの状況や社会経済活動の活発化による接触機会の増加等が感染状況に与える影響について、引き続き注視していく姿勢を示した。
 (2)では、一部の地域で季節性インフルエンザの増加傾向が継続していることから、新型コロナとの同時期の流行について十分留意していく必要があるとの見方を示した上で、日本医師会から各都道府県医師会や郡市区医師会に対して、新型コロナの再拡大と季節性インフルエンザの同時期の流行に備えた体制づくりを繰り返し要請してきたことを説明。
 全国の医師会では年末年始を含めて、会員医療機関に対し、診療・検査医療機関の更なる拡充の依頼やかかりつけ患者以外への診療対象患者拡大の協力依頼、日曜祝日や夜間に地域医師会が運営している休日夜間診療所等への医師会員の更なる協力依頼を行うなど、感染拡大防止に向けた取り組みが進められているとした。

政府・自治体からの支援・補助を求める

 (3)では、(2)に関連して、都道府県・郡市区医師会等の具体的な年末年始の取り組みとして、①山形県②栃木県③群馬県④埼玉県⑤東京都⑥神奈川県⑦愛知県⑧京都府⑨大阪府⑩岡山県⑪広島県⑫大分市⑬鹿児島県―の医師会の事例を紹介。
 松本会長は、全国の医師会の協力に対し、「全国の医師会員の先生方を始め、新型コロナウイルス感染症に対応して頂いている全国の医療従事者の方々には、改めてこの長きにわたるコロナ医療への対応に心からの感謝を申し上げる」と感謝の意を示した。
 また、例年でも冬は感冒やインフルエンザなどの患者が増える中で、今年は更に新型コロナへの対応が求められていることから、診療・検査医療機関等を含めたコロナに対応する医療機関に対しての、政府・自治体からの支援・補助の重要性を説明するとともに、「医療資源には限りがある中、新型コロナの再拡大によって、通常の医療が必要な方への対応がないがしろになってはいけない」と強調した。

年末に向け感染対策とワクチン接種を

 松本会長は最後に、年末年始に備えて、改めて基本的な感染防止対策を引き続き行うことを呼び掛けるとともに、高齢者を始めとしたワクチン接種の対象者が年内にオミクロン株対応のワクチン接種を受けることで、感染拡大防止、重症化予防につながるとの考えを示した。
 会見に同席した釜萢敏常任理事は、まず、今後の新型コロナの感染状況に関する見通しについて、予測は困難であると念押しした上で、専門家の中では第7波のような大幅な感染拡大にはならないとの見方が多いことを紹介。

感染症法上の位置付けの見直しには関係者の合意が必要

 次に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けについて触れ、医療を提供する側でさえも、立場によって同感染症に対する考え方の違いが大きいとの見方を示し、さまざまな事情を総合的に判断し、国として今後どのようにこの感染症を扱っていくかについては、「(関係者の)合意をしっかりと形成していくことが必要。医療を提供する立場としては、慎重に合意形成をして、その合意の下に国の政策判断が適切に行われることを願っている」と述べた。
 その上で、仮に位置付けが変わった場合でも、現在行われている感染防止対策をすぐに大幅に緩めることは現実的ではないと指摘するとともに、「罹患後症状に関する分析・評価にも、更に力を尽くさねばならない」と指摘。加えて、医療費の公費負担の見直しには反対する姿勢を示した。
 ワクチン接種については、徐々にオミクロン株対応ワクチンの接種は進んでいるものの、順調というわけではないとの見方を示し、12月の1カ月の間に多くの対象者に接種をしてもらうための取り組みを全力で行っていく必要性を強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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