日本医師会定例記者会見 2月15日
黒瀨巌常任理事はウィズコロナ時代における訪日外国人数の回復を踏まえ、訪日外国人に対する医療提供体制の充実の重要性を訴えるとともに、入国の際には民間医療保険へ加入することを求める日本医師会の見解を述べた。
黒瀨常任理事は、訪日外国人に対する医療提供体制の充実に関する議論の経緯として、特に沖縄県等での医療提供に課題があったことを受け、2018年の自民党の「外国人観光客に対する医療プロジェクトチーム(PT)」による政府への提言が政府全体での取り組みにつながり、「健康・医療戦略推進本部」によるワンストップ総合窓口設置や旅行保険加入勧奨、厚生労働省による「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」の設置などが実施されてきたことを説明。
訪日外国人数は新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって激減していたが、昨年12月には総数で137万人と、コロナ前(2019年12月:253万人)の半数程度に回復してきたことから、「大都市圏だけではなく、日本のさまざまな地域に外国人の方が訪れることが期待される。ウィズコロナ時代の地域医療を守るため、再び外国人に対する適切な医療対策の充実を図る時期である」と強調した。
一方、医療費未払い問題の再燃も懸念されることから、2月6日付で同党の「訪日外国人観光客コロナ対策PT」に対し、医業経営の安定化、地域医療の持続のために、短期滞在入国者へ民間医療保険の加入を促進する措置を求める文書「訪日外国人に対する医療提供体制の充実に向けて」を提出したことを報告。
黒瀨常任理事は、コロナ禍における外国人患者と医療機関を守るために日本医師会が求めていた項目のうち、(1)予診票や問診票の多言語対応・全国統一フォームの各地での使用、(2)平日を含むワンストップ窓口の24時間対応―などは引き続き対応が必要であるとした上で、「全ての訪日外国人の皆様に医療保険に入って頂き、安心・安全に日本旅行を楽しんで頂きたい。われわれ地域を守る医療者は、病気やけがをされた在日外国人にも十分な医療を提供していく」との姿勢を示した。
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