松本吉郎会長は3月7日、釜萢敏常任理事と共に厚生労働省を訪れ、加藤勝信厚労大臣に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の類型変更後における財政支援を求める要望書を手交した。 |
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今回の要望書は、次の感染症も見据えながら、現在の体制を支えていかなければならないとの観点から取りまとめられたものである。
その中では、まず、日本医師会として、全国の都道府県医師会・郡市区医師会と共に、四病院団体協議会や全国医学部長病院長会議等の医療関係団体、全国知事会等と連携しつつ、国民・患者のため、類型変更後も最善の医療が提供できる体制の構築に引き続き努めていく考えを説明。
今後については、類型が5類感染症に変更されたとしても、ウイルスの感染性が変わるわけではなく、医療機関では引き続き感染対策を講じる必要性があることから、これらの対応に対する診療報酬上の適切な評価、病床確保料等の財政支援が引き続き必要になるとしている他、新たに、(1)これまで保健所や地方自治体が対応してきた入院調整や健康観察を医療機関が担うことに対する報酬上の対応や財政支援、(2)オミクロン株が主流となって以降、要介護高齢者の感染が増加し、医療機関に介護の負荷が増していることから、介護保険施設等における医療支援の充実や中小病院が入院を引き受けられるような適切な対策を講じること―も必要になると指摘。
具体的には、今後の各地域における医療提供体制への取り組みを支えるためとして、別掲の九つの事項の実現を強く求めている。
要望書手交後の会談の中で、松本会長は5類に変更になることで、入院調整に関する医療機関の負担がより増えることに懸念を示し、その対応を要請。その上で、日本医師会として引き続き、コロナの感染再拡大に備え、できるだけ多くの医療機関にコロナ患者に対応してもらえるように努めていく考えを伝えた。
釜萢常任理事は、「類型変更後も医療機関のコロナに対する感染対策は変わるわけではないのに、国からの支援がなくなってしまうのではと多くの会員の先生が不安に感じている」として、「国にはそれらの先生方に安心を与える対応をお願いしたい」と述べた。
これらの要望に対して、加藤厚労大臣は一定の理解を示し、厚労省としてもしっかり対応していく考えを表明。入院調整に関しては、コロナに限らず、通常時から入院調整が行えるシステムを構築していく必要があるとの考えを示し、日本医師会にその構築に向けた協力を要請した。
具体的な要望事項
一、 次の感染症に備えるため、改正感染症法(令和6 年4 月1 日施行分)に基づく、病床確保や発熱外来等の協定締結に至るまでの医療提供体制維持への支援一、 地域の発熱外来診療体制の維持・充実のための支援 一、 緊急包括支援事業のうち病床確保料等の必要な事業の継続 一、 地域医療介護総合確保基金による介護施設等のかかりまし経費等の支援策の継続 一、 国民が医療機関にかかる際、検査や受診を受けない・受けられないといったことがないよう、高額な治療薬も含め、できるだけ国民負担がかからない支援 一、 診療報酬上の特例の継続 一、 医療機関が入院調整や健康観察を担うための新たな業務に対する診療報酬上の対応 一、 介護保険施設をはじめ高齢者施設等に対する医療支援への対策 一、 中小病院における要介護高齢者等の入院受入への対策 |
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問い合わせ先
日本医師会地域医療課、健康医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)