日本医師会定例記者会見 7月5日
オンライン資格確認におけるマイナ保険証のひも付けの誤りなどが報道され、国民や医療現場に不安と混乱が生じていることを受け、長島公之常任理事は、この問題の解決が喫緊の課題であり、現行の健康保険証が廃止される令和6年秋までに万が一体制が整わない場合は、保険証の有効期限延長の要請をし得るとの姿勢を示した。
同常任理事はまず、国が推進するオンライン資格確認を基盤とする医療DXが、日本医師会の目指す「国民・患者の皆様への安心・安全でより質の高い医療提供」と「医療現場の負担軽減」の実現に資するものであることから、全面的に協力してきたことを説明。
その上で、オンライン資格確認におけるマイナ保険証のひも付けの誤りや、資格確認できない場合の対応方法が明確ではなかったことにより、国民・患者の他、医療現場にも不安と混乱が生じているとして、これらの払拭(ふっしょく)が喫緊の課題であると強調した。
その解決のため、国が6月29日の社会保障審議会医療保険部会において、「保険者による迅速かつ正確なデータ登録の確保のための取り組み」と「マイナカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応(別掲)」を示したことについては、「資格確認できない場合に、『保険料を払っている方が、必要な自己負担3割分などで必要な保険診療を受けられるようにする』『医療機関には未収金などの経済的負担が発生しないようにする』ことを明確化するという改善は、大きな前進である」と評価。
また、保険証が廃止された後に混乱を来さないため、「資格確認書」を必要とする人には迅速に交付される必要があるとし、そのための体制を、保険証が廃止される令和6年秋までに確実に整備するよう改めて要望した。
一方、日本医師会としては、7月20日に開催予定の「都道府県医師会社会保険・情報システム担当理事連絡協議会」などを通じて、会員や地域の医師会に丁寧に説明して理解と協力を得ていくとした上で、「今後の経過を見て、もしその整備が間に合わないといった事態が生じた場合には、既存の保険証や資格確認書の有効期限の扱いについて、延長も含めて必要な対応をお願いする必要があると考えている」との見解を示した。
マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について ※本件に関する詳細を記した7月10日付日医発第699号は日本医師会ホームページに掲載されています。下記URLよりご参照願います。 https://www.med.or.jp/doctor/sys/onshi/011243.html |
---|
【何らかの事情でその場で資格確認を行えないケース】 以下の場合などが考えられます。
以下のいずれかの方法にて確認をお願いします。
上記のいずれかの対応が実施できた場合には、医療機関等の窓口負担として、患者の自己負担分(3割分等)の支払いを求めて下さい。 患者がマイナンバーカード、健康保険証のいずれも持参していない場合や、有効な健康保険証の交付を受けておらず、マイナンバーカードによる資格確認を行うこともできない場合には、医療費の全額(10割)を請求することが基本となりますが、再診で過去の受診歴があって患者の身元が分かっている場合などは従来どおり、個々の医療機関の判断で、3割分等の支払いを求めるなど、柔軟な対応を行っても構いません。 【後日、被保険者資格を確認する方法について】 以下の方法が考えられます。
【医療費負担】 審査支払機関側で、患者の受診時の加入保険者等を可能な限り特定し、その保険者等が診療報酬等を負担することになります。保険者等を特定することができない場合には、災害等の際の取り扱いに準じ、各保険者等で、当該医療機関等に対する診療報酬等の支払実績に応じて診療報酬等を案分して支払うこととなります。 |
問い合わせ先
日本医師会 医療保険課、情報システム課:TEL03-3946-2121(代)