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令和5年(2023年)9月20日(水) / 日医ニュース

今年の8月6日は違う

 8月6日は被爆地広島にとって特別な日である。核兵器として人類史上初めて原子爆弾が投下され、14万人もの尊(とうと)い命が失われた。広島県人である私は毎年平和を祈念する日として粛々と原爆の日を過ごしてきたが、78年目を迎える今年は例年と少し違う。
 核兵器の使用は壊滅的な人道上の大惨事を招き、世界を恐怖に陥れることから、国際社会はその使用を容認しない姿勢を示し、お陰で広島、長崎以降は実戦で使用されていない。しかし、昨年からのロシアによるウクライナ侵攻では、戦況によっては核兵器使用も現実問題となっている。
 一方で、5月の広島G7サミットでは各国首脳、とりわけ核保有の米国、英国、フランス、招待国のインド、そして、今最も核の危機に直面しているウクライナのゼレンスキー大統領も、被爆地広島を訪れたことは画期的なことである。
 更に、平和記念資料館も訪れたということで、彼らに悲惨な被爆の実相が伝わったものと思う。
 被爆者は自身の悲惨な経験を二度と人類に体験させたくないと考え、核兵器のない平和な世界を願っている。唯一の被爆国日本もそう訴える権利と義務がある。
 しかし、核兵器廃絶を目指す2021年発効の核兵器禁止条約(TPNW)はハードルが高く、核保有国は全て未加入。米国の核抑止力の傘に入る日本も核兵器不拡散条約(NPT)の加入のみで、TPNWには加入していない。
 われわれ医師も核戦争防止国際医師会議(IPPNW)を通じて、医学的立場から実効的活動を行い、この危機に対応したい。

(グリーン)

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