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令和6年(2024年)5月22日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

財政審「春の建議」について

 松本吉郎会長は、5月21日に財務省財政制度等審議会(以下、財政審)が鈴木俊一財務大臣へ「我が国の財政運営の進むべき方向」、いわゆる「春の建議」を答申したことを受けて、22日の定例記者会見で、4月17日の会見に引き続き改めて日本医師会の考えを説明した。

 まず、財政審が「規律ある『歳出の目安』の下で歳出改革の取組を継続すべきである」と主張していることに対し、医療の高度化等が勘案されていない「歳出の目安」を続けたことにより、日本の医療水準は、論文数などで諸外国に後れを取りつつあると指摘。また、社会保障関係費を高齢化による増加分に相当する伸びに収めるという対応は、デフレ下の遺物であり、インフレ下では、税収や保険料収入の増加も考慮すべきとした上で、「『歳出の目安』は、政府がコストカット型経済からの脱却を目指している中、人件費に上限を設けるようなものであり、政府が重要政策として位置づける賃上げを阻むものである」と強調した。

 また、松本会長は今回の診療報酬改定における医療従事者の賃上げ水準が、5月16日に連合(日本労働組合総連合会)が公表した、正社員の定期昇給を含む平均賃上げ率5.17%に達していないことにも言及し、「さらなる賃上げの流れを、就業者全体の13.5%にも上る医療・介護分野の従事者約900万人に対しても波及させていくべきである」と主張した。

 次に、財政審が診療所過剰地域における1点当たり単価の引き下げを先行させ、主に都市部の保険点数1点当たり単価の引き下げを求めていることに対しては、「医療現場の感覚から甚だしく乖離している。人件費や物価が高い都市部の単価を下げるといったことは机上の空論であり、国民の生命と健康を守る立場である日本医師会としては決して容認することはできない」と批判。誰もが、どこでも、一定の自己負担により適切な診療を受けられることを基本的な理念としている国民皆保険制度においては、被保険者間の公平を期す観点から、全国一律の診療報酬点数が公定価格として設定されており、この制度を堅持していくべきであると訴えた。

 また、医師の分布については、各地域の人口に応じて現在の形に落ち着いたものであり、人口分布の偏りに起因するにもかかわらず、診療所の過不足の状況に応じて診療報酬を調整する仕組みは、その責任を診療所に負わせ、あたかも医療で調整させるような極めて問題の多い提案だと指摘。人口の問題については、医療のみならず、地方創生の取り組みを更に推進することが大切であるとした。

 更に、医師の偏在問題については、一つの手段で解決するような魔法の杖は存在せず、その解決のためには医療費財源と同様に、あらゆる手段を駆使して複合的に対応していく必要があるとし、年末にかけて丁寧な議論が必要だと述べた。その具体策として、「医師が不足している地域の声に耳を傾けるとともに、国が必要な財政支援、好事例の横展開、研修等で支えることを基本として、自主的な気運の醸成や働きやすい環境の整備等が必要である」との考えを示した。

 その他、財務省がフランスやドイツの対応を例示したことに関しては、両国とも国全体で医師配置計画を行っているが、地域格差や医師不足はあることから、医師の偏在が地域ごとの割り当てで全て解決するわけではないと指摘。更に、ドイツでは、保険医の制限だけでなく、地方での開業支援も行っているが、地方で活動する医師は不足し、都会でパート勤務をする医師が増えてしまっているとその実情を示して反論。この問題の解決のために、日本国憲法の第22条で「居住、移転及び職業選択の自由」が保障されていることに触れながら、日本医師会としても、ディスインセンティブで行うのではなく、インセンティブを設けるのが大前提との考えの下にしっかりと提言していく姿勢を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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