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令和6年(2024年)8月21日(水) / 「日医君」だより

2023~2024年度武見フェロー帰国報告会

 2023~2024年度武見フェロー帰国報告会が8月20日、日本医師会館で開催され、ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院武見プログラムで研究に従事し、帰国したフェローから研究成果の発表が行われた。報告会には、日本医師会役員、日本製薬工業協会、武見フェロー、日医総研の研究員など、約50名が参加した。

 冒頭あいさつした松本吉郎会長は、昨年に設立40周年を迎えた武見プログラムについて、長年にわたり資金援助を行う日本製薬工業協会に対して感謝の意を述べた上で、本プログラムが国際的にも高い評価を得ており、これまでに62カ国から330名のフェローが参加し、素晴らしい成果をあげてきたことを強調した。

 引き続き行われたフェローによる報告では、吉田一隆弘前大学大学院医学研究科社会医学講座特任助教が「孤独に起因する社会的つながりと社会的処方の国際比較」と題して、日本人とアラブ人の総合診療医(家庭医)と看護師を対象に、高齢患者の孤独に関する態度・知識・行動を調査した結果を報告した。

 まず、睡眠障害や体重の増減、それに伴う合併症等の健康問題が孤独に起因していることを示し、病気等の「原因の原因」の1つに孤独があると指摘した。

 次に、総合診療医(家庭医)と看護師が患者を孤独と判断する要因に関する調査結果として、孤独を評価する感度は、総合診療医(家庭医)の方が看護師よりも高く、過小評価(孤独であることの見落とし)が少ないことなどの結果を説明した。

 また、患者の孤独と患者の家族との関連性については、「患者の孤独と家族の不確実性のチェックツール」を作成し調査を行い、家族が低収入であることが、患者が孤独を感じる要因であるという結果を得たことを報告した。

 その上で、吉田特任助教は、医療機関においては、病院が多く対応する重症度・緊急度が高い事例、診療所が多く対応する心理・社会の要素が強い事例、どちらにおいても孤独が「原因の原因」である可能性があるため、開業医及び総合診療医(家庭医)、勤務医の間で情報を共有し、一緒に患者を支えていくことが必要だと述べた。

 その後は質疑応答に続いて、今村英仁常任理事から、現在、2025~2026年度の武見フェローを募集していることが紹介され、報告会は終了となった。

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