大学紹介
藤田保健衛生大学
【教育】細やかな指導による「良き臨床医」の育成
藤田保健衛生大学 医学部 教務委員長 生理学講座Ⅰ 教授 長崎 弘
本学は医学部および医療科学部からなる医系総合大学として昨年創立50周年を迎えました。建学の理念に「獨創一理:独創的な学究精神を堅持して真理を探求すること」を掲げています。創設当初より、「アセンブリ教育」の名の下、同じ敷地内にある医学・臨床検査・看護・放射線・リハビリテーション・臨床工学・医療経営情報の全学科による多職種連携教育が行われてきました。これにより職員が優しく患者に向き合い、チーム医療を担うという気風が醸成されています。現在医学部では国際認証に向けたカリキュラム改革が進んでおり、今年12月から始まるクリニカルクラークシップではスチューデントドクターの認証を受けた4年次以降の学生が、全61週に渡り臨床研修医並みのトレーニングを受ける予定です。1435床の第一教育病院をはじめそれぞれ特徴のある3つの教育病院で、月2回の三次救急当直に入るなど、即戦力の育成を目指したプログラムを実施します。また、この中で6週間の地域医療体験を目的とした学外臨床実習も予定されていますが、その期間に国際提携校(イタリア・ザンビア・タイ・台湾・韓国・UAE)等における臨床実習で単位を取得することも可能です。15年以上に渡り、多くの学生が国際医療経験を積んできています。本校はまた、きめ細かな学生への対応を行っています。問題解決能力の向上を目的として3、4年次に実施されるPBLでは、多くの臨床スタッフによる指導が行われます。また全学年について指導教員が公私ともに学生をフォローしています。6年生はもとより5年生にも個別の学習スペースがあり、ソフト・ハード両面で充実した教育により、リサーチマインドと国際的視野を有する人間性豊かな「良き臨床医」の育成をめざしています。
【研究】こころの病の克服を目指して
藤田保健衛生大学 総合医科学研究所 システム医科学 教授 宮川 剛
藤田保健衛生大学では、研究を教育・診療と並ぶ三つの柱の一つと位置づけており、医療系私立大学としてはユニークな、専任の研究者が所属する総合医科学研究所を設置しています。本年度、同研究所は「脳関連遺伝子機能の網羅的解析拠点」として文部科学省から共同利用・共同研究拠点の認定を受けました。この拠点で私たちは、脳で働く遺伝子の役割の解明を目指し、特定の遺伝子の情報を人為的に変化させた「遺伝子改変マウス」を保有する全国の研究者との共同研究を進めています。マウスは、そのほとんどの遺伝子がヒトの遺伝子と対応しているほか、感覚・運動能力、情動、社会性、記憶学習などの様々な心理学的な指標について調べることができるため、遺伝子改変マウスはこころの病である精神疾患の原因を明らかにする研究に活用されています。私たちは、こうした種々の行動課題で異常が認められた遺伝子改変マウスの脳について、各種の先端的な解析技術を用いて遺伝子やタンパクの発現について網羅的に調べ、遺伝子の機能や精神疾患が起こるメカニズムの解明を試みています。これまでにも私たちは同様の研究において、社会的行動・認知機能・注意力の低下など、精神疾患の患者さんとよく似た行動異常を示す複数の種類の遺伝子改変マウスを見いだしてきました。これらのマウスの脳を調べたところ、海馬の歯状回という部位で神経細胞が未成熟に近い状態になっていることを発見しました。また、これらのマウスの脳では、遺伝子やタンパク発現パターンをはじめとした様々な異常が起きており、こうした脳内の異常も精神疾患の患者さんにそっくりであることがわかってきました。こうしたマウスの脳内の異常を正常化する方法が見つかれば、精神疾患の治療法の開発に役立つことが期待されます。本拠点での研究を通じて私たちは、こころの病の克服に寄与したいと考えています。
【学生生活】学年・学部を越えて、密な人間関係を築く
藤田保健衛生大学 医学部 3年 村松 秀樹
藤田保健衛生大学の強みとして、最先端から終末期まで幅広い医療を学べる環境が挙げられます。大学病院は1435床と国内最多の病床数を誇り、他の病院に先駆けて手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入した実績があります。今年度は新棟が完成し、災害・救急・高度急性期の医療を担う国内有数の病院となりました。その一方で、大学病院本院としては初めて緩和ケア病棟を設置するなど、超高齢社会を見据えた地域医療のモデル作りも行っていて、自分の関心分野の第一線を学ぶことができます。
藤田には医学部の他に医療科学部があり、臨床検査・看護・放射線など将来共に働く医療系職種の学生が所属していることも特徴です。特に1年次から通年で実施するアセンブリ授業では、学生が学部学科を越えて班をつくり、スポーツや映画鑑賞、バードウォッチングにいたるまで様々な活動を行います。3・4年次には高学年アセンブリが実施され、大学所在地である豊明市の医療を活性化させるためにはどうしたらいいかを話し合いました。低年次には多職種で楽しい活動を行うことで互いの理解を深め、高年次ではその理解にもとづいて医療に関する様々な議論をできるようになるのは、藤田の良いところだと思います。
うちの大学は学生同士の仲がとても良いのですが、その理由の一つにオリエンテーションキャンプが挙げられます。これは1年生全員が1泊2日のキャンプを行うもので、1日目はレクリエーションをして距離を縮め、2日目に医療に関する寸劇を行うのです。上級生も幹事として参加するので、学年を越えた絆が生まれます。学部内外の人間関係の密度では、他の大学に負けないと思いますよ。
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- 医師への軌跡:草場 鉄周先生
- Information:Autumn, 2015
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- 特集:ケース・スタディ 滋賀県東近江市永源寺地区 ①認知症の人と関わるチームの姿
- 特集:ケース・スタディ 滋賀県東近江市永源寺地区 ②認知症の人の暮らしの実際
- 特集:ケース・スタディ 大分県由布市 認知症で困っている人に関わる
- 特集:人と人との関係が認知症の人を支える
- 特集:認知症と共生する社会へ 経済界・企業トップ×日本医師会役員対談
- 同世代のリアリティー:大学生のレンアイ事情 編
- チーム医療のパートナー:患者支援団体
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- 10年目のカルテ:放射線科 奥田 花江医師
- 10年目のカルテ:放射線科 永井 愛子医師
- 日本医師会の取り組み:医療事故調査制度の創設
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- 医学教育の展望:「経験から学ぶ」環境で、学生を育てる
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- 大学紹介:千葉大学
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