グローバルに活躍する若手医師たち

日本医師会の若手医師支援

JMA-JDNとは

Junior Doctors Network(JDN)は、2011年4月の世界医師会(WMA)理事会で若手医師の国際的組織として承認されました。JDNは、世界中の若手医師が情報や経験を共有し、未来の医療を考えて行動するための画期的なプラットフォームです。日本医師会(JMA)は2012年10月に国際保健検討委員会の下にJMA-JDNを立ち上げました。これまで若手医師の集まりは学会や医局、地域、NGOなどの枠組みの中でつくられてきました。JMA-JDNは、多様な若手医師がそれらの枠組みを超えて、公衆衛生や医療分野において自由に自分たちのアイデアを議論し行動できる場を提供したいと考えています。関心のある方は検索サイトやFacebookで「JMA-JDN」と検索してみて下さい。

今回は、JMA-JDNの若手医師より、JMA-JDNのさまざまな活動の報告を寄せてもらいました。

 

第2回JMA-JDN総会~未来の医療を見据えて~

JMA-JDN 役員(事務局担当) 第2回JMA-JDN総会 企画担当  柴田 淳平

2017年7月22~23日の2日間にわたり第2回JMA-JDN総会を開催しましたので、ご報告させていただきます。

JMA-JDN総会とは、JMA-JDNの役員・スタッフが一堂に会し、運営決定や活動内容の報告・相談、トレーニングを行う、1年に1回の企画です。

今年は「未来の医療を見据えて」をテーマに、次世代を担う医学生と若手医師を交えた会となりました。

1日目にはJMA-JDNの活動報告、アドボカシースキルワークショップ、医学生・若手医師交流会の3本立ての内容でした。アドボカシースキルワークショップでは東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室の神馬征峰先生をお迎えし、課題設定から戦略作りと実践的なワークを行いました。「若手医師のバーンアウト」「ワークライフバランス・働き方」「医学生の英語教育」など非常に重要な課題が共有され、今後これらの内容はプロジェクトとして検討を行っていく予定です。医学生・若手医師の交流会では「国際キャリア」「研究」「結婚」等についてワールドカフェ形式で意見交換を行い、悩みや経験の共有、お互いのアドバイス等を通して相互の交流を行いました。2日目は午前中に運営会議、午後からはJMA-JDN役員である、京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座精神医学教室の小林啓先生より「医療者の為のスライドデザイン講座」と題してワークショップを行いました。情報量が多い医療知識は文字が多くなりがちですが、印象に残るスライドデザインに関して実際に作成を行いながらフィードバックをいただくことができました。

今回は、新体制となってから2回目となるJMA-JDN総会で、より多くの企画が盛り込まれた会となりました。今回の2日間にわたる企画を通して、全ての参加者が明日に活かせる学びを得てくださっていれば、本企画のテーマに掲げた「未来の医療」をより良くするという目標に近づけたのではないかと思います。

今回の企画に関しては日本医師会の先生方、顧問の先生方に多大なるご尽力をいただきました。心より感謝申し上げます。

柴田 淳平
名古屋大学卒業。現在、豊橋市民病院にて臨床研修中。

 

グローバルに活躍する若手医師たち

アドボカシースキルワークショップ

JMA-JDN 役員(地域担当) 河野 圭

医学生であれば学生生活やカリキュラムに対して、また医師であれば日常診療やプライベートに対して、疑問や不満を持ち、時にはどうにかそれらを改善したいと思ったことはありませんか?しかし誰に対してどこに向けて訴えればいいのかわからない、訴えたいけれども問題が大きすぎて自身のみでは問題を解決しきれない、という場合にどう解決につなげていけばよいのでしょうか。そのためのツールの一つとして、「アドボカシー」というものがあります。アドボカシーとは、ad(toward/to)と、vocation(calling/to call)を合わせた、「求めの声」に応じて援助・支援することを意味する言葉で、政策提言や権利擁護の意味としても用いられます。

第2回JMA-JDN総会では、東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室の神馬征峰先生をお招きし、アドボカシースキルワークショップを開催いたしました。最初に神馬先生より、アドボカシーの定義・戦略の立案方法・成功に必要な要素等の講義をしていただき、続いてその内容を踏まえてアドボカシーのフレームワークを基に、戦略立案のグループワークを行いました。今回のワークショップには医学生・若手医師・公衆衛生大学院生にご参加いただき、医学教育の改善のためにどうすればいいのかを話し合うグループや、多忙を極める医師の働き方をどうすればいいのかを話し合うグループなど、班ごとにバラエティに富んだテーマが挙げられました。その中には実行可能性の高い戦略の立案にまで至った班もありました。

JMA-JDNは若手医師のプラットフォームとして、このようなノウハウを生かしながら、日頃抱える問題を共有し、問題提起やそれを解決するための一助を担い、各地域や国内の医療の質向上につないでいくことを今後も目指していきます。

河野 圭
神戸大学卒業。群星(むりぶし)沖縄参加病院の中頭病院で臨床研修修了。現在、長崎大学病院感染制御教育センター助教、日本赤十字社長崎原爆病院非常勤救急顧問。総合内科専門医。

 

JMA-JDNの活動紹介

JMA-JDN 役員(研究担当) 加藤 大祐

今回は、私たちJMA-JDN研究チームの活動を紹介します。JMA-JDNの理念は、「国際的な繋がりの中で若手医師によるプラットフォームを形成し、公衆衛生や保健医療政策分野の幅広い活動を展開すること」です。JMA-JDNでは、そうした分野に興味・関心のある若手医師が、医師の研修や労働環境等の問題について議論し、セミナー開催等を通じて、科を超え、地域を超え活動しています。

去る6月11日には、ACP(米国内科学会)日本支部年次総会2017で、京都大学大学院医学研究科肝胆膵移植外科・臓器移植医療部の海道利実先生を講師としてお招きし、「英語論文作成とプレゼンテーションのコツ」というワークショップを開催しました。テーマを決めて、数年単位で深く掘り下げることで、その領域に精通することができ、学会発表や原稿執筆といった機会を通じて、人の輪、研究の輪、ひいては活躍の輪を広げることができます。また、学会で発表した内容は論文化することが大切であり、抄録登録時に論文にしておくとよい等のTipsをお話しいただきました。

先生のご著書「もし大学病院の外科医がビジネス書を読んだら―仕事や人生が楽しくなる“深いい話” ―」(中外医学社,2013)には、演題募集時に登録することだけを目的とした “とりあえず抄録”を書かない誠実さが大切だと説かれており、「誠実な人生は、臨床でも研究でも誠実なのである」とあります。海道先生の「仕事で達成感を感じて、楽しい人生を歩み、組織に貢献する」ための一貫した人生哲学と、にじみ出る誠実なお人柄、真摯でひたむきな姿勢に大きな学びと勇気をいただいた気がしております。当日は40名のご参加をいただき、また終了後もたくさんの方々からご質問があり、改めてこのようなワークショップのニーズの大きさを感じました。

これからも、皆が学び合い、社会に貢献できるよう頑張っていきたいと思います。

加藤 大祐
筑波大学附属病院で臨床研修、名古屋大学医学部附属病院総合診療科で後期研修修了。三重大学大学院家庭医療学分野博士課程所属。家庭医療専門医・指導医。認定内科医。

※先生方の所属は2017年10月現在のものです。

 

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