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平成28年(2016年)3月4日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

地域医療対策委員会答申「地域医療構想(ビジョン)・第7次医療計画に向けての医師会の役割について」を受けて

 釜萢敏常任理事は、3月2日の定例記者会見で、地域医療対策委員会が、会長諮問「地域医療構想(ビジョン)・第7次医療計画に向けての医師会の役割について」を受け、8回にわたり議論を重ね、報告書として取りまとめ、2月29日に、富田雄二委員長(宮崎県医師会副会長)から横倉会長に提出したことを報告した上で、その概要を説明した。

 平成26・27年度地域医療対策委員会報告書「地域医療構想(ビジョン)・第7次医療計画に向けての医師会の役割について」は、「はじめに」、(1)地域医療構想について、(2)地域医療構想の策定を行う体制等の整備、(3)地域医療構想の策定及び実現に必要なデータの収集、分析、共有、(4)構想区域の設定、(5)構想区域ごとの医療需要の推計、医療提供体制の検討、病床の必要量の推計について、(6)将来のあるべき医療提供体制を実現するための施策の検討、(7)地域医療構想策定後の取組、(8)第7次医療計画に対する医師会の役割、「おわりに」―からなっている。

 「はじめに」では、2015年4月から全国で策定が始まっている地域医療構想について、いまだに都道府県行政や医療関係者の中には「病床削減のための制度ではないか」との誤解が残っていると指摘。その上で、1.2025年の医療需要を推測し、地域に必要とされる病床機能の充実に向けて医療機関による自主的な転換・収れんを目指した制度であること、2.地域医療のあるべき姿は、全国一律に決まるべきものではなく、実情に応じて地域ごとに設計できるようにする必要があるが、その地域の実情を最もよく理解しているのは地域の医師会である、3.地域医療構想調整会議は、地域の医療提供状況を把握し、必要とされる医療を過不足なく提供できる環境作りのための話し合いの場であること、4.構想策定においては、「構想で示される数値は4つの機能ごとの需要(患者数)の推測値で、医療提供側のための参考値であり、これを目標に行政が施策を進めるものではない」ことを考慮に入れて地域医療構想を策定すべきとした。そして、その過程において地域の実情を熟知した地域の医師会が中心的な役割を担って取り組むべきと強調している。

 その他、答申では、今後、地域医療構想に影響を及ぼす制度として、地域医療法人推進法人、病院不動産を対象とするリート、地域医療介護総合確保基金について言及するとともに、地域医療構想策定で発見された課題が第7次医療計画策定の過程で地域の医療提供体制に及ぼす影響などについても記載されている。

 また、「おわりに」では、今回各都道府県で示される4つの機能別必要病床数(病床の必要量)について、地域医療構想策定において『参考値』を『目標値』ととらえ、病床削減の根拠とされることへの懸念を表明。日医に対しては、地域医療構想が本来の役割を果たせるよう、議論をリードして欲しいと要望するとともに、病床機能の分化と連携を実現・継続するためには、基金だけではなく各機能の病床が運営できる診療報酬となるよう、引き続き対応を求めていくべきであると強調している。

 最後に、同常任理事は、「本答申を踏まえ、地域医療が正しい方向へ向かうよう努力していく」との考えを示した。

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