平成28年(2016年)7月5日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
第XIV次生命倫理懇談会答申 遺伝子診断・遺伝子治療の課題を提示―生命倫理の立場から
小森貴常任理事
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日医定例記者会見 6月8日
第XIV次生命倫理懇談会答申・第VIII次学術推進会議報告書の映像となってます
第XIV次生命倫理懇談会答申・第VIII次学術推進会議報告書の映像となってます
小森貴常任理事は、第XIV次生命倫理懇談会が会長諮問「遺伝子診断・遺伝子治療の新しい展開―生命倫理の立場から―」を受けて取りまとめた答申書を、5月27日に髙久史麿座長(日本医学会長)から横倉義武会長に提出したことを報告するとともに、その概要について説明した。
答申は、(1)はじめに、(2)遺伝子診断と生命倫理、(3)わが国におけるNIPTの現状、(4)遺伝学的検査と生命倫理、(5)個人遺伝情報の取り扱いに関する最近の動向、(6)遺伝子治療と生命倫理、(7)おわりに―を柱に構成されている。
(2)では、遺伝学的検査・診断において生命倫理の観点から考慮すべき問題として、「遺伝学的検査の同意」「遺伝情報の共有」「出生前診断」「偶発的所見」を挙げて詳説。
偶発的所見については、当初の目的とは異なるゲノム情報が明らかとなった場合、知る権利と知らないでいる権利、何が当事者にとって最善かなどの倫理的課題も含め、その取り扱いをさまざまな観点から検討する必要があるとしている。
(3)では、母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)について、その倫理的課題を指摘した上で、平成25年4月に開始された認定登録制度の運用状況を概説。非確定的検査であるNIPTの結果が陽性で、その診断を確定させるための羊水染色体検査でも陽性となった妊婦のほとんどが妊娠中絶を選択している現状が説明されている。
また、NIPT陽性の結果だけで妊娠中絶に至った例も報告されていることなどから、NIPT実施施設へ妊婦を紹介する立場の産婦人科医のNIPTへの理解を深める必要性や、妊婦への説明と遺伝カウンセリングの質を向上させることの重要性を指摘している。
(4)では、米国や欧州で、臨床的妥当性や臨床的有用性の面で問題が大きいとして販売されなくなってきているDTC(Direct-to-Consumer)遺伝子検査について、わが国では何の規制もなく販売され、現在もそのマーケットが拡大されつつある現状を危惧。遺伝学的検査が、医療分野に入るものは厚生労働省、ビジネス分野に入るものは経済産業省が担当するという分離所掌がこうした状況を招いているとして、遺伝学的検査を厚労省で一元的に所掌し、単一の基準で適切な枠組みを構築していく中で、国民が安心して先端生命科学技術の恩恵にあずかれる体制を築くことが喫緊の課題だと記している。
※外字は代替文字で表記しております。
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