閉じる

平成30年(2018年)9月20日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

控除対象外消費税問題解消のための提言を公表

 横倉義武会長は8月29日、日本歯科医師会、日本薬剤師会、四病院団体協議会(四病協)の各団体の代表者らと共に記者会見を行い、年末へ向けての医療界の最重要課題である控除対象外消費税問題の解消に向けた医療界全体の要望として「控除対象外消費税問題解消のための新たな税制上の仕組みについての提言―消費税率10%への引き上げに向けて―」を取りまとめたことを公表した。

 今回の提言は、病院、一般診療所、歯科診療所、薬局(以下、医療機関等)の控除対象外消費税問題の解消が緊急を要する中、医療界が一致団結できる具体的な対応策として、取りまとめられたものである。
 「新たな仕組み」では、(1)診療報酬への補てんを維持した上で、個別の医療機関等ごとに診療報酬本体に含まれる消費税補てん相当額(以下、消費税補てん額)と個別の医療機関等が負担した控除対象外仕入れ税額(医薬品・特定保険医療材料を除く)を比較し、申告により補てんの過不足に対応、(2)診療報酬への補てんは、消費税率10%への引き上げ時に医療機関等種類別の補てんのばらつきを丁寧に検証し是正。その後の診療報酬改定でも必要に応じて検証、是正を行う―としている他、その対象は、消費税及び所得税について実額計算で申告を行っている医療機関等開設者としている。
 横倉会長は、7月に安倍晋三内閣総理大臣と会談した際、政府側の検討状況として「来年10月の消費税率の引き上げに向けて、この問題について、本年末に取りまとめられる与党税制改正大綱を踏まえながら、引き続き、日医を始めとする医療関係者の議論等を考慮しつつ、しっかりと検討していく」との発言があったことを説明。
 「今後は年末に向けてさまざまな議論が行われると思うが、平成31年度税制改正に際しての検討及びその結論が、本提言に凝縮された医療界の望む姿で実現するよう、医療界一丸となって要望活動を展開していく」と述べた。
 引き続き、「新たな仕組み」の内容について概説した中川俊男副会長は、現行の診療報酬での補てんに関して、「全くばらつきがないことは不可能であることから、そのばらつきに対して『新たな仕組み』で対応していく」とした上で、「消費税が導入された際に社会保険診療が非課税とされて以来、控除対象外消費税の問題は、医療機関等の経営上極めて大きな負担となっている。その解消は待ったなしの状況であり、今回、改めて控除対象外消費税問題解消のための税制上の新たな仕組みを提言した」と説明した。
 また、今後については、「今回の提言が、消費税の基本的な仕組みと相いれないという指摘もあるが、具体的な制度設計については各界の叡智(えいち)も頂きながら、医療界が一致団結して新たな仕組みの実現に向けて邁進(まいしん)していきたい」と述べた。
 その後、参加団体の各代表者からそれぞれコメントが述べられた。
 堀憲郎日歯会長は、「診療報酬での補てんに過不足があった場合の財源の確保など課題はあるが、その実現に向けて全力を挙げていく」とし、山本信夫日薬会長からは、「今回の仕組みによる補てんが十分だと判断し、賛同した」との見解が述べられた。
 大道道大日本病院会副会長は、「高度や急性期医療を担う病院ほど経営は厳しい状況にあり早急に手当が必要である。医療関係者が団結して国に要望していく」とし、猪口雄二全日本病院協会長は、「医療界がまとまって提言を行うこと、税制上で是正の仕組みができることが重要である。まずは正確な診療報酬上の補てんが必要であり、個々の医療機関でのばらつきについても、今回の提言のような仕組みで是正していきたい」と述べた。
 長瀬輝諠日本精神科病院協会副会長は、「今回の提言のような仕組みで是正することに大賛成であり、これを支持する」とした他、加納繁照日本医療法人協会長は、「これまで問題となっていた補てんの過不足が、この仕組みによってしっかりと是正されることに期待する」として、その実現に期待感を示した。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる