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令和2年(2020年)8月5日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

乳腺外科医控訴審判決に関する日医の見解を説明

※首都圏での新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、15日より発言者はマスク着用となりました。

 今村聡副会長は、7月13日に東京高等裁判所が、一審で無罪判決を受けた医師に対し、無罪判決を破棄し、懲役2年の実刑判決を言い渡した控訴審判決について、日医の見解を説明した。
 同副会長はまず、平成31年2月20日の一審の無罪判決が出された当日に記者会見を行い、判決は妥当であり、検察は控訴を控えるべきと主張したことなど、本件に関する経緯を説明。
 今回の控訴審判決については、(1)報道等によれば、控訴審判決では、せん妄の診断基準について、学術的にコンセンサスが得られたDSM―5(米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)に当てはめずに、独自の基準でせん妄や幻覚の可能性を否定した医師の見解を採用している、(2)全身麻酔からの回復過程で生じるせん妄や幻覚は、患者にとってはリアルな実体験であり、現実と幻覚との区別がつかなくなることもある。このような場面は全国の医療機関で起こる可能性があり、もし、それが起こった場合には、医師や看護師が献身的にケアに当たっているのが実際であるにもかかわらず、そのことが理解されていない、(3)科学捜査研究所のDNA鑑定等では、①データを鉛筆で書き、消しゴムで消す②DNAの抽出液を廃棄する③検量線等の検査データを廃棄するなど、通常の検査では考えられない方法がとられるなど、一審の無罪判決の記者会見時でも述べた通り、再現性の乏しい杜撰(ずさん)な検査であるにもかかわらず、検査の信用性を肯定している―ことなどの問題点を挙げ、「もし、このような判決が確定すれば、全身麻酔下での手術を安心して実施するのが困難となり、医療機関の運営、勤務医の就労環境、患者の健康にも悪影響を及ぼすことになる」とした。
 その上で同副会長は、「医師を代表する団体として、控訴審の有罪判決に強く抗議する」と述べるとともに、日医として今後も支援を続けていく考えを示した。

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