日医定例記者会見 3月24・31日
猪口雄二副会長は、3月17日の記者会見で速報を公表した「新型コロナウイルスワクチンの供給体制に関するアンケート」について(別記事参照)、3月23日午後7時現在での回答結果を発表するとともに、医薬品卸売業者によるワクチンの供給体制について、日本医師会の見解を説明した。
同副会長はまず、回答のあった郡市区医師会のうち、ワクチンの供給について、医師会自ら市区町村と調整しているのが49・3%と約半数であったことを報告。
また、医療従事者のワクチン接種に関しては、基本接種型施設から連携型・サテライト型施設へのワクチン搬送体制について、医薬品卸が14・7%、運送業者が17・7%と回答したところがある一方、依然として搬送手段が決まっていないが28・8%、不明が15・4%であることを明らかとした。
今後、開始される予定の高齢者接種に関して、当該市町村において、ファイザー社製ワクチンの接種方法を、(1)集団接種、(2)個別接種、(3)集団接種・個別接種の組み合わせ―のいずれかの方法を採用するかとの質問に対しては、(1)が14・1%、(2)が9・1%、(3)が51・5%との回答があったことを説明。「高齢者接種を実施するに当たり、供給体制(配送方法)が『未定』と回答したところは全体で49・7%を占め、市区町村がワクチン供給体制の決定に苦慮している現状が浮き彫りになった」と述べた。
更に、郡市区医師会から寄せられた、ワクチン接種体制構築を進めるに当たっての要望や意見に関しては、「情報が少ない、ほとんど入ってこない」「ワクチンの供給日程、供給量が分からないためスケジュールが立てられない」「ワクチン量が絶対的に不足している」「V―SYSの登録方法・取り扱い方法が不明でサポートデスクにもつながらない」などがあったとした。
これらの結果を受けて、同副会長は、「高齢者接種に向けたワクチンの配送について、未定や全体的に決まっていないとの回答が半数以上を占めている。より多くの高齢者に速やかにワクチンを接種してもらうためにも、運送業者に加え、地域の医療事情に精通している医薬品卸業者の皆さんがワクチン配送に関わることが、その地域のワクチン接種事業の支えになる」と強調。今後も、日本医薬品卸売業連合会と連携を強める意向を示すとともに、同連合会が、厚生労働省とワクチンの配送条件など、さまざまな課題について協議を重ねた上で、3月11日に会員各社に対し、「ファイザー社製ワクチンの移送業務についての手引き」を送付しており、この手引きを参照して、地域医師会と連携し、ワクチン供給体制に関与するよう伝達していることを紹介した。
最後に、同副会長は、高齢者接種開始まで多くの時間が残されているわけではないとし、「各地域でワクチン搬送に関する協議が早期に決着し、高齢者のワクチン接種体制が適切に整えられるよう、地域の医薬品卸売業者の皆様には、接種施設である医療機関へのご協力をお願いしたい」と要望した。
なお、アンケートの対象医師会数は819郡市区医師会で、回答があったのは572郡市区医師会。市町村数に直すと1135市区町村となっている。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会地域医療課 TEL:03-3946-2121(代)