令和2・3年度 会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)
第Ⅺ次生涯教育推進委員会(委員長:長谷川仁志秋田大学大学院教授)は、会長からの諮問「新たな時代の医療連携に資する医師の生涯教育のあり方」に対する答申を取りまとめた。
答申は、「はじめに」「第1章 医療連携の全体像を把握して生涯教育の在り方を考える」「第2章 医療連携に関する教育の現状」「第3章 実際の医療現場における医療連携の現状と教育体制の課題」「第4章 新たな時代の医療連携に資する医師の生涯教育における強化目標―日本医師会が主導する次世代の理想的な医療の実現に向けた委員会からの提言―」「総括」で構成されている。
第1章では、全ての診療は、大小さまざまな役割のチームが連携することで成り立っており、理想的な医療を実現するためには各チームにおいて教育体制を構築することが重要になると指摘。
第2章では、生涯教育の世界基準から、日本医師会の生涯教育制度も含めた国内の各段階における医療連携に関する教育まで、その内容と現状について、まとめられている。
第3章では、各委員が地元の医療現場における連携の実態や教育面での現状と課題について情報収集した結果、見えてきた日本における医療連携に関する教育の課題として、「個々の医療現場によって、医療連携に関する教育への意識に差があり、結果として様々な連携に関する教育を活かして医療の質を向上させているところと、そうでないところの格差が大きい」など、4点を明示。
その解決のためには、医療連携教育について卒前・卒後から引き続き一貫して生涯教育における重要事項として捉える必要があるとしている。
また、第4章では、新たな時代の医療連携に資する医師の生涯教育における強化目標として、「生涯にわたり自己研鑽(けんさん)を続けることで、専門領域の診療能力のみならず医療連携の質につながる総合的な診療能力を向上し、学びを各チームのメンバーで共有できる」「個々の現場における医療連携の全体像を把握し、すべての診療は、同医療職種~多職種、同じ施設内~施設間の大・小様々な役割のチームが連携することで成り立っていることを理解して診療できる」「各現場の医療の質向上には、同医療職種のみならず多職種連携教育の推進など医師の教育体制構築の意識が重要であることを理解して実践できる」「各現場における診療上の課題や医療チームのニーズを把握できる」など、10項目からなる提言を行っている。
その他、答申には、本答申のポイントを理解した上で、実践に結び付けてもらうために委員会で作成した「医療連携のための自己評価チェックシート」も参考として付記されている。