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令和4年(2022年)11月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「地域における面としてのかかりつけ医機能 ~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)」を公表

「地域における面としてのかかりつけ医機能 ~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)」を公表

「地域における面としてのかかりつけ医機能 ~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)」を公表

 松本吉郎会長は11月2日の定例記者会見で、かかりつけ医機能に関する日本医師会の考えとして、このほど取りまとめた、「地域における面としてのかかりつけ医機能~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)」(全文は日本医師会ホームページ「日医on-line」の「プレスリリース」に掲載)を公表した。

 今回の第1報告は、医療政策会議の下に設置した「かかりつけ医ワーキンググループ」(座長:鈴木邦彦茨城県医師会長)で検討を重ねた結果を、医療政策会議(議長:柵木充明愛知県医師会長)で更に検討し取りまとめた「医療政策会議第1回報告」を基に、執行部内で検討し、第22回常任理事会(11月2日開催)で機関決定したものである。
 当日の会見で松本会長は、まず、日本医師会はこれまで一貫して「かかりつけ医の普及」に取り組んできており、「日医かかりつけ医機能研修制度」では、2022年10月現在、延べ約5万6000名の医師が参加していること等を報告。「国民・患者に良質で安心できる医療を提供し、医師と国民・患者の間で平時から身近で頼りになる関係をつくることが重要である」と述べるとともに、「医師(医師会・医療界)自身が変わっていかなければならないことがあれば積極的に受け止め、国民・患者が相談しやすい環境整備に向けて真摯(しんし)に取り組み、改革を進めていかなければならない」との決意を示した他、「地域に根差した医師の役割」についても、その重要性を改めて強調した(別記事参照)
 新型コロナウイルス感染症への医療機関の対応に関しては、「医療現場はまさにぎりぎりの状態で逼迫(ひっぱく)しつつも、しっかりと患者を守っており、諸外国と比較しても、死亡者数、致死率共に低く抑えることができるなど、日本の対応は高水準であった」と振り返った上で、「コロナ等感染症を始めとする有事における対応は、日頃から患者のことをよく知る、かかりつけ医機能を担う医療機関が行うことが望ましいが、動線分離を含めた感染拡大防止対策が重要となるため、地域医療全体として通常医療を継続しつつ、急速に増加する感染症医療のニーズに対応していくことが必要となる」と指摘。今後は、地域の医療体制全体の中で、感染症危機時に外来診療や在宅療養等を担う医療機関をあらかじめ適切に確保し明確化しておくことで、平時に受診している医療機関が無い方を含め、国民が必要とする時に確実に必要な医療を受けられるようにしていくべきとの考えを示した。
 感染症発生・まん延時における「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」については、現在開会されている臨時国会で行われている感染症法等の改正議論の中で岸田文雄内閣総理大臣が、「未知の感染症への対応について、全ての医療機関に感染症医療を行うことを求めることは困難と考えており、感染症医療を担う医療機関の役割分担を明確にすることを通じて、必要な医療を受診できる体制を構築していきます」と答弁していることを紹介。「今回の提言に示した方向で法改正も行われていくと思われる」とした。
 国民に分かりやすくかかりつけ医機能を示すための方策に関しては、医療法の告示で示されている「医療機能情報提供制度」における「かかりつけ医機能」を、国民の期待に応えることができる内容に改めた上で公表していくことが望ましいとした他、医療機関のかかりつけ医機能については、「必ずしも一つの医療機関においてかかりつけ医機能の全てを担わなければならないわけではなく、診療科にかかわらず、それぞれの医療機関が有している機能を発揮しつつ、連携とネットワークによってその他の機能を補完することで、発揮されるものだ」と説明。そのためにも、「各医療機関は自らが持つ機能を磨くことにより縦糸を伸ばすとともに、更に地域における他の医療機関との連携を行うことを通じて横糸を紡いでいくことが大変重要になる」とした。
 また、その評価に関しては、多くの医療機関が算定できるようにするとともに、財政中立ではなく、今後評価を更に充実・強化すべきだと主張。加えて、地域に根差した活動への評価・支援、連携やネットワークの構築などの環境整備等を図るためにも、診療報酬上の評価のみならず、補助金等の活用が必要になるとの考えを示した。
 更に、かかりつけ医機能を面として発揮するための方策については、「地域住民(患者)の医療ニーズに対し、日常診療時より他の医療機関と連携しておくことで、地域におけるネットワークを構築し、対応していくことが望ましい」とした他、「急変時においても可能な限り地域におけるネットワークで対応し、必要に応じて救急搬送の依頼や高度急性期医療を担う医療機関で対応してもらうべきである」と述べ、その際には地域医師会がリーダーシップを発揮することが求められるとした。

「制度化」ではなく「制度整備」であることを強調

 その後の記者との質疑応答の中で、財務省が求めるかかりつけ医の認定制度、事前登録への見解を問われたことに対して、松本会長は、全世代型社会保障構築会議の中間報告、その後、閣議決定された「骨太の方針2022」の中で示されているのは、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」であり、「制度化」ではないと強調。「かかりつけ医は患者が選ぶものである」として、財務省が求めるかかりつけ医の認定制度、事前登録、更には包括払いの拡大に反対する姿勢を改めて示した。
 また、これまでのかかりつけ医機能に関する考え方との違いに関しては、①「医療機能情報提供制度」を国民に分かりやすい内容に改め、国民がその制度を活用し、フリーアクセスで適切な医療機関を自ら選択できるよう支援する②各医療機関は自らが持つ機能を磨くとともに、他の医療機関との連携を通じて「地域における面としてのかかりつけ医機能」を発揮し、地域におけるネットワークで対応を行う③感染症発生・まん延時(有事)における対応について、地域医療体制全体の中で感染拡大時に対応する医療機関をあらかじめ明確化し、国民が必要とする時に確実に必要な医療を受けられるようにする―ことを示した点だと説明した。

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◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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