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令和5年(2023年)2月20日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の現況等について

日本医師会定例記者会見 1月25日

新型コロナウイルス感染症の現況等について

新型コロナウイルス感染症の現況等について

 松本吉郎会長は、まず、岸田文雄内閣総理大臣が1月20日の会見において、「今春に、新型コロナウイルス感染症を5類感染症とする方向で検討を進めるよう指示を出した」と述べたことに触れ、前日の19日に岸田総理と会談したことを報告。その席上で、感染症法上の類型の見直しは医療提供体制の状況を慎重に踏まえつつ、段階的な対応を経て、ソフトランディングの形で移行するよう要望するとともに、(1)国民が医療を必要とする時、検査や受診を受けない・受けられないといった状況があってはならず、高額な治療薬も含め、できるだけ負担の掛からない形にする、(2)医療機関・介護施設等の現場では、類型が変更されてもこれまでと同様の対応を取らなければならないことを踏まえ、引き続き感染防御ができる支援の継続、(3)入院調整において、医療現場と患者に負担が掛からないようにするための引き続きの行政の支援、(4)今後コロナの感染が拡大した場合に備えた臨時の検査センターや医療施設の継続の検討―の4点を求めたこと(別記事参照)を明らかにした。
 また、類型の見直しについては、「四病院団体協議会などとの意見交換の結果を踏まえ、コロナ対応がより適切に行われるよう、現場の声を今後も政府に届けていく」と述べた。

医療機関や介護施設等ではマスク着用の継続を

 マスクの着用のあり方については、新型コロナの感染症法上の位置付けを春以降に「5類」に変更した場合に、有症状者を除いて、屋内でのマスクの着用を不要とする方向で調整が進んでいることを受けて、全国の医師会や医療従事者から、「医療機関や介護施設などにおいても、マスク不要を求められるのではないか」といった不安の声が日本医師会に寄せられていることを説明。「医療機関や介護施設等は、病気で受診している人、高齢者や基礎疾患がある重症化リスクの高い人々が集まる場所であり、クラスターが発生した際には、コロナ以外の医療にも大きな影響を与える」として、「このような環境においては、感染対策は非常に重要であることから、屋内でのマスク着用が原則不要となった場合でも、引き続きマスクの着用が必要な環境である」と主張した。
 また、新型コロナの発生前から医療現場ではマスクの着用は必要に応じて行ってきたこと、日本は花粉症やインフルエンザのシーズンに多くの人がマスクを着けていることなどに触れ、「今後屋内外でマスクが不要とされる場面でも、マスクをしたい人は着用することが尊重される環境づくりが必要である」と強調。
 政府に対しては、一律にマスク不要を求めるのではなく、感染状況や感染リスク等を踏まえた検討を行うよう要望するとともに、感染者を増やさないためにも、医療機関・介護施設等に来院、来所する際は、これまで同様にマスクを着用してもらうことへの理解を求めた。
 更に、松本会長は3年という長きにわたる新型コロナとの闘いの中で、医療現場で対応に当たっている全国の医療従事者に対して、改めて謝辞を述べた上で、「新型コロナウイルス感染症が全国的に一定数は土着する『エンデミック』という局面も想定される中で、必要な時には躊躇(ちゅうちょ)なく119番、迷う時にはかかりつけ医へ相談するなどして欲しい」と呼び掛けるとともに、SNSなどで批判されていた、救急隊員が食事やトイレでコンビニエンスストア等を利用することへの理解を求めた。
 最後に、松本会長は今後も、日本医師会として、限りのある医療が崩壊せずに提供し続けることができるよう、引き続き、政府や関係団体等に支援を求めていく考えを示した。

コロナ対応可能な医療機関を増やす準備を進める

 釜萢敏常任理事は、新型コロナの感染症法上の位置付けの見直しについて、移行における課題は多く残っていると指摘。具体的には、「一人一人が適切な行動を選択でき、各方面に負担が掛からないようにするための検討」「地域における感染状況や病床利用率、救急搬送困難事例を正確に把握し共有できる方法の確立」などを挙げ、日本医師会としては、今春の方針変更に向けて準備を進めつつ、コロナ対応が可能な医療機関を更に増やしていきたいとした。
 また、医療機関や介護施設等に対しては、「これまでどおり感染対策の継続が求められることから、施設ごとに制約がある中で可能な限りの工夫をして、どのようにコロナに対応していくかを個別に検討して欲しい」と述べるとともに、日本医師会としても国にその支援の継続を求めていくとした。
 加えて、エンデミックによる感染リスクのレベルについては、可能な限り感染リスクのレベルが低い状態でとどまる状況を目指すためにも、急激な方針の変更は極力避けるべきであると指摘。今後の対応が適切に行われるよう、日本医師会としてもしっかり発言していく意向を示した。

キーワード:エンデミックとは
181105e2.jpg 一般的に感染症の流行の広がりは、「エンデミック」「エピデミック」「パンデミック」の3段階で捉えることができ、「エンデミック」とは、ある感染症が一定の地域に一定の罹患率または一定の季節で日常的に繰り返し発生することや、感染性病原体が恒常的に存在していることを指しています。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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