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令和6年(2024年)2月21日(水) / 「日医君」だより

「令和6年能登半島地震」災害対策本部会議(第7回)

 「令和6年能登半島地震」第7回災害対策本部会議が2月20日、日本医師会館でWEB会議により開催され、今後の出口戦略等も含めた意見交換が行われた。

 冒頭、あいさつした松本吉郎会長は、まず、現地の医療支援のフェーズが刻一刻と変化している中、現在も多くの医師や医療従事者がJMATとして活動していることを説明した上で、「今後は、県南の1.5次避難所、2次避難所に避難されている方々が地元に戻られた際の受け入れ等について準備をしていくことが重要」と指摘。また、医療がないところには人が住めないことから、コミュニティの再建に当たっては、地域のかかりつけ医機能、地域包括ケアシステムを担う診療所の一刻も早い「復旧」が最も肝要であるとの考えを示した。

 更に、今後も日本医師会として必要な支援を適宜適切に政府与党に働き掛けていくとともに、避難者の移動状況等を加味したJMAT活動の継続に傾注していくとして、引き続きの協力を求めた。

 続いて、現地の状況について、安田健二石川県医師会長と秋冨慎司石川県JMAT調整本部員/石川県医師会参与/日本医師会統括JMATが説明を行った。

 安田石川県医師会長は、JMATの派遣及び日本医師会や秋冨石川県JMAT調整本部員の尽力に感謝の意を示した上で、被害の大きい輪島市では、今後、住民が避難先から戻ってくるのか不透明であり、会員が医療機関を維持できるのか懸念を抱いていることを紹介。「石川県医師会としてもその支援に努めていきたい」と述べるとともに、今後は「輪島市の地域医療をどうしていくのか」という大きな視点に立って、会員の活躍の場をつくることも考えながら、医療提供体制の再構築を図っていきたいとした。

 また、被災地や避難所の状況は多少落ち着きつつあり、今後は、1.5次、2次避難所の避難者が被災地に戻る際の医療支援を考えるに次のフェーズに移ることになり、息の長い支援が必要とした他、JMATを国民にもっと知ってもらう施策の検討を求めた。

 秋冨石川県JMAT調整本部員は、松本会長の2度目の石川県の視察(「日医君」だよりNO.1124号参照)や全国の医師会からの支援等に感謝の意を示した上で、石川県内からもJMATの派遣が始まるなど県内からの支援も始まっていることを紹介した。

 次に、被災地の状況について、穴水町に設置している支部を、インフラ等が安定してきており、能登北部医師会の事務所もある等の理由から輪島市に移すことを検討していると説明。更に、標準~軽装のJMATでも活動できる状態になってきていることや、JMATの派遣ペースは東日本大震災の時に匹敵するペースであることも報告した。

 出口戦略については、安田会長を始めとする石川県医師会、地元医師会や行政関係者、被災地の拠点病院、保健所等と話し合いながら、JMATの数を現地のニーズに応じて調整し、自治体の保健行政が安定し、被災地医師会と石川県医師会が問題ないと判断した地域に関してはJMATを撤収していく考えを明らかにした。

 また、3月16日の新幹線の開通に向けて、避難者を仮設住宅等に移す動きがあることや、保健行政を支援するDHEATが一部の地域で2月末で撤収することに触れ、被災地が不安定な状況になることに懸念を示した。

 更に、医療機関の復旧に関しては、現在も外来が再開できていない施設があるとした上で、自施設への被害に対して強いショックを受けた医師に対して、寄り添うような支援の必要性を指摘した。

 引き続き、細川秀一常任理事がJMATの現況と今後の方針について説明。まず、2月20日時点のチーム数の合計は579チーム、1日当たりチーム数の合計は2,027チーム、派遣者数の合計は2,137人、1日当たり派遣者数累計は7,289人であることを紹介した上で、派遣のピークは超えたとの見方を示し、被災県外からの「支援JMAT」の派遣数を調整していく段階になっているとした。

 今後の方針については、医療ニーズの変容やDMAT、日本赤十字の撤収などを踏まえながら検討していくとするとともに、3月以降は現在継続派遣されている都道府県医師会チームによる支援を基本とし、診療所の外来や往診等の支援も含め、長期的、継続的な支援体制をとっていくとした。

 また、被害の収束後の被災地に関して、災害により深刻な医師不足が生じた地域には、「JMAT II」の派遣も検討すること等も併せて報告した。

 長島公之常任理事は、被災者のレセプト情報の医療機関等の第三者提供の取り扱いに関して、これまで国民健康保険団体連合会からは情報提供されていたものの、支払基金からの情報提供は行われておらず、対応を強く求めた結果、改善される見込みとなったことを説明。具体的な対応が正式に決定し次第、改めて周知を行うとした。

 意見交換では、(1)災害救助法の適用の期間、(2)避難者が戻る際の問題―等について質問があり、(1)に関しては日本医師会として確認中であると説明。(2)には、秋冨石川県JMAT調整本部員が回答し、避難者が仮設住宅などにどれだけ移るかの見通しは立っておらず、現地の医療提供体制が復旧するまでの間は、長期的な支援が必要になるとした。

 その他、DHEATの撤収により保健所機能が不足することのないよう対応を求める意見や避難者で透析を受けている患者の状況についての報告も行われた。

 最後に釜萢敏常任理事からは、今後の災害対策本部会議の開催について、日本医師会と石川県医師会との間で開催を継続し、都道府県医師会には必要に応じて参加を求める方式に変更することが報告された。

◆令和6年能登半島地震 災害対策本部会議(※メンバーズルーム)
会議の映像・資料を掲載しています。
※日本医師会メンバーズルームへのアカウントが必要です。

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