令和4・5年度 会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)
令和4・5年度医師会共同利用施設検討委員会はこのほど、会長諮問「次世代に託す医師会共同利用施設の使命~かかりつけ医機能支援と医療・保健・介護・福祉の充実~」に対する報告書を取りまとめ、3月31日に池田琢哉委員長(鹿児島県医師会長)より、松本吉郎会長宛に提出した。
第1章「医師会共同利用施設の現状」では、医師会病院について、地域によって必要とされている役割が異なるばかりでなく、医師・看護職員等の人材不足や人件費・光熱費等の高騰により厳しい経営状況に置かれていることを踏まえ、地域事情に即応した経営方針の転換が求められると指摘。
また、今後の人口構造・医療需要の変化への対応やICTを利用した医療・介護との連携の仕組みづくりが必要としている他、コロナ禍後の変化などにも触れられている。
臨床検査センターに関しては、民間検査会社の参入による需要の減少や新規利用の獲得に苦戦していることを踏まえ、「医師会共同事業」の展開の実践やサービスの向上に努めるなど、民間検査会社に匹敵あるいはそれ以上のサービスの開拓が求められるとしている。
健診センターについては、がん検診の読影医の不足を課題として取り上げ、その解決策としてクラウドを用いた二次読影など、特色ある取り組みを紹介。介護保険関連施設に関しては、市町村が主体となり事業を展開するためには、地域の医師会と連携することが必須とするとともに、後期高齢者の増加に伴い、訪問看護の需要が高まることから、今後は看護職員不足が重要な課題になるとしている。
第2章「次世代に託す医師会共同利用施設の使命」では、平時・有事の両面から共同利用施設の意義について言及。「かかりつけ医機能支援としての役割」では、郡山市医療介護病院の事例を取り上げるとともに、「医療・保健・介護・福祉の充実のために」では、「地方都市の医師会病院の使命やがん検診の課題と解決の方向性」「複数の医師会が広域で協働して医師会共同利用施設を行う事業のあり方」「女性医師・看護職員等の人材不足対策として医師会立保育所の設置・運営の提案」に加えて、在宅医療を担う人材育成を目的とした「訪問診療同行研修」や、遠隔画像診断システムなどのICTの活用などについても触れている。
「おわりに」では、地域の医療ニーズに応じた「面として地域医療を支える」体制を構築するためには、医師会共同利用施設がかかりつけ医機能支援を積極的に担い、医療・保健・介護・福祉の充実に寄与していくことが必須であるとした上で、本報告書により、全ての会員に施設の存在意義が再認識され、次世代を担う会員が運営を承継していくことを期待するとしている。
その他、報告書では「地域医療連携推進法人」や「第30回全国医師会共同利用施設総会分科会報告」の事例なども紹介。更に、その冒頭には諮問内容を全うするために必要なことをまとめた提言を「総論」「各論」に分けて掲載している。