令和4・5年度会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)
男女共同参画委員会はこのほど、会長諮問「超高齢社会における男女共同参画の推進」に対する答申を取りまとめ、小泉ひろみ委員長(秋田県医師会長)から松本吉郎会長に提出した。
答申は第1章から4章で構成されている。
第1章では、これまでの男女共同参画委員会の取り組みと成果について整理されており、第2章では、超高齢社会の現状として、統計データ等を基に答申の基礎資料として現状や将来推計がまとめられている。
第3章では、高齢化が進むことによって起こり得る(1)医療需給の変化、(2)財源不足、(3)患者・医師の高齢化―という三つの問題について言及。「高齢者割合が増えることによって在宅診療や自宅での看取りが増える一方、生産年齢人口の減少により働き手が不足する」「高齢者割合の増加は社会保障関係費の増加をもたらし、生産年齢人口の減少によって税収は減少し、その財政の悪化が人材確保を困難にする」「患者・医師が共に高齢化してしまうと、認知力の低下は避けられず、トラブルを避ける仕組みも必要となる」ことなどについて触れられている。
第4章では、これらの課題を解決する方策として、(1)患者の高齢化に合わせた医療提供体制の構築、(2)医師の労働力確保、(3)国民・医療従事者への啓発―の三つを提言。具体的には、「地域包括ケアシステムの構築状況の見える化」「一人で患者宅を訪問するリスクに備え、複数人で訪問診療する仕組みの構築」「幅広く人的資源を拾うためのサポート体制の必要性」「潜在的偏見の解消」「医療が変わっていくことへの国民への啓発」等について述べられている。
また、「おわりに」では、働き手の減少という観点からは、女性医師や高齢医師の潜在的労働力ばかりに注目しがちだが、「誰もが人権を尊重し、個性と能力を十分に発揮することができる社会」が、男女共同参画委員会が目指すものであり、忘れてはならないと強調している。