未来志向で命を守る 災害医療の新たな挑戦~医師から起業家まで、オールジャパンで「知」を結集~

7. 2050年―地球温暖化が進んだ未来

気候安全保障の専⾨家である関⼭健教授(京都⼤学)は、「気候変動の影響により、今後さらに⾃然災害が激甚化・増加する恐れがあることを改めて強調したい」と、将来のリスクについて説明した。関⼭教授によると、⽇本政府の予測では、世界の平均気温が産業⾰命前の19世紀と⽐べて2度上昇すると、1時間に50mm以上の「短時間集中豪⾬」の発⽣率が、現状よりも1.6倍に増えるという。「2度の上昇は、そう遠い未来の話ではありません。実は昨年、世界の平均気温は既に1.45度も⾼くなっていたのです」。

シンポジウム1

さらに、ショッキングな予測が続く。「国連のIPCC が出した予測によれば、数年のうちに気温の上昇は1.5度を超えるとみられています。それが2度の上昇に達するのは、⼤体2050年頃。たとえ2050年までにカーボンニュートラルが達成されたとしても、温暖化の進⾏は回避できない可能性が⾼いのです」。

関⼭教授は、豪⾬被害のリスクが今後ますます⾼まることを前提とした防災対策が必要だと語った。そのためには、平時におけるハザードマップやキキクル等の情報活⽤、事前の対策、そして関係組織間の協⼒体制強化(各医師会・医療機関・⾃衛隊の災害救助活動など)が重要だと⼒説した。

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