交流ひろば

元財務省事務次官の佐藤慎一さんに聞く「仕事の流儀」

スロバキア、コメニウス大学医学部6年 妹尾 優希

新型コロナウイルス感染症の流行により、福島県で開催を企画していた浜通りスタディツアーが中止となり、代替として8月11日に、元財務省事務次官の佐藤慎一さんをお招きし、キャリアに関する勉強会を、医療ガバナンス研究所にてZoomを併用し開催いたしました。

講師の佐藤慎一さんは、財務省(元大蔵省)に入省後、福岡国税局、農林水産省、在英国日本国大使館参事官、財務省主税局など、国内外の様々な場所での勤務を経て、2016年に財務省事務次官に就任しました。また、2011年3月11日に発生した東日本大震災では、復興構想会議の運営事務の中心となり、復興に向けて従事しました。

勉強会ではまず、私たち医学生にとってあまり馴染みのない「行政官」の仕事について、お話しいただきました。佐藤さんは、行政官とは「黒子として、影で『より良い社会』を築くために、政策(解決案)を模索する人」と説明していました。この「より良い社会」とはどのような社会を指すのかを尋ねてみると、一般的な幸せな将来像の変化について、説明いただきました。

昭和後期では、テレビアニメの『サザエさん』のように郊外の一軒家を持ち、三世代同居する家族像が、一般的な幸せな家庭の象徴でしたが、現代においては少数派の意見となっています。さらに近年、人々の人生設計が多様化し、共通した幸せな家族像がなくなり、そのため、「より良い社会」の実現には、人々が抱える問題を発見し、政策を模索することが必要不可欠だそうです。

●「北極星」を見つける

しかし、様々な生活背景を持ち、それぞれ異なる悩みを抱える人々がいる社会で、どのようにして課題を設定し、解決に向かっていくのでしょう? 佐藤さんは、「『北極星を定めること』が重要」と話されていました。

佐藤さんは震災後、事務局として復興に向けた取り組みをするなか、「国民全体が問題を共有して、解決に向けて助け合いにつながる構図」を「北極星」としたそうです。この「北極星」を基に、「復興構想7原則」を提案し、被災地の再生と自立を支援する復興交付金を、未来の国民への負担にするのではなく、震災から生き残った現代の国民で負担する方針を定めたそうです。

●勉強会から学んだこと

佐藤さんのお話から、患者さんとご家族のQOLを上げることや、地域の健康水準を上げる、社会で弱い立場にいる方の健康を守るなど、「北極星」となるマクロな課題設定の重要性を学びました。また、「北極星」を共に働く人たちだけでなく、地域の患者さんとも共有することで、様々な人が別々に動いていても、地域全体で見たときに同じ向きに進んでいくことができるのではないかと感じました。

最後となりましたが、他では聞くことのできない大変貴重なお話をいただいた佐藤慎一さん、困難な状況のなか、勉強会の開催にご協力いただいた医療ガバナンス研究所の上昌広先生をはじめとする研究室の皆様に、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました!

 

 

山本雄士ゼミ ~あなたの理想の医療を削り出し、形にするための方法を学ぼう~

2020年度山本雄士ゼミ ゼミ長 東京大学医学部医学科6年 金井 祐樹

山本雄士ゼミは、医療とマネジメントの接点を追究する学びのコミュニティです。「いまの医療に違和感や問題意識を感じ、よりよい医療を創りたいと思う人たち」を対象に、「違和感を出発点に思考と行動を続け、医療に変革をもたらすリーダーとなるのをサポートする」ことを目的としています。ビジネススクール流の手法で、医療の業界構造、経営戦略論、組織行動論、リーダーシップ・スキル、ベンチャー論など、医療の変革に必要なマネジメントの知識とスキルを習得していきます。

月に1回のゼミは、主に「ケース・ディスカッション」という世界中のビジネススクールで用いられている授業の形式で展開しています。病院や企業などを舞台にした、実際の事例に基づくケース・スタディ(事例研究)をあらかじめ読んできて、講師をファシリテーターとして参加者の皆さんでディスカッションをしていきます。

主宰者の山本雄士先生は、東京大学卒業後に循環器内科医を6年務め、日本人医師として初めてハーバード大学でMBAを取得、帰国後「株式会社ミナケア」を創業して現在に至ります。運営は私たち学生スタッフが行っています。大学のゼミのような固定メンバーではなく、各回のテーマに応じて学生・社会人問わず参加者を募るオープンなゼミです。

ゼミはこれまで対面で行ってきましたが、10年目の今年はコロナ禍のなかでオンラインに移行しました。ケース・ディスカッションの臨場感はそのままに移行することができ、結果として全国の皆様に地理的障壁を超えてご参加いただけることとなりました(海外からご参加の方も!)。10月以降は対面とオンラインの併用開催も検討しています。詳しいゼミの内容と今後の予定は、右記のQRコードからホームページをご覧ください。

私自身3年間ゼミで学び、「あなたがマネジメントの立場ならどうするか?」「あなたがそう考えるのは何に根本的な価値を置くからか?」などのゼミで発せられる問いを、徐々に内面化しているような感覚があります。私にとってのゼミの魅力は、初参加の頃は講師や他の参加者の様々な視点からの発言に圧倒されるばかりだったのが、思考を続けながら回を経るごとに、少しずつ自分も複眼的思考を獲得していく、その言わば「非日常の日常化」にあったのだろうと思います。ぜひ一度、対面でもオンラインでもお気軽にお越しください。皆様と学びの時間を共有できることを心から楽しみにしております。

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11月21日(土)、第6回RFCセミナーを開催いたします!

米国内科学会日本支部 Resident-Fellow Committee

テーマは「感染症」で、矢野晴美先生・加藤幹朗先生との企画、毎回好評を頂いている米国内科学会公式問題集(MKSAP)を活用した「弾丸感染症道場」も行います!なお今回はweb開催といたします。

日時:2020年11月21日(土) 14時~18時
募集人数:約80名(定員を大きく超える場合は増員する可能性があります)
内容
14:00~15:10 「臨床推論 -Diarrhea-」
プレゼンター:水戸協同病院 青山 彩香 先生
15:10~15:20 休憩、RFC紹介
15:20~16:20 感染症レクチャー(仮)
国際医療福祉大学 感染症学教授、医学部医学教育統括センター教授 矢野晴美 先生
(※今回、矢野晴美先生のレクチャー内容は、早めに申し込みいただいた方のフォーム内アンケートの回答を踏まえていただけることになっています!)
16:20~16:30 休憩
16:30~17:00 RFC presents MKSAP × Specialist ~感染症~
17:00~17:10 閉会・アンケート記入
17:10~18:00 質問タイム
参加費用
・ACP会員 / 後期研修医・専攻医以上:1000円
・ACP会員 / 学生・初期研修医:500円
・非ACP会員 / 後期研修医・専攻医以上:1500円
・非ACP会員 / 学生・初期:1000円
申し込みフォームhttps://acp-rfcseminar-6.peatix.com/ (2020年10月25日(日) 締切)

※聴きたいテーマのある方は是非お早めにお申し込みくださいさい!

【申し込みに際しての留意点とキャンセルポリシー】

申し込みキャンセル連絡の締切は11月14(土)となります。これ以降のキャンセル連絡に関しては返金は受け付けかねますので、ご了承ください。
※キャンセルされる場合はoffice[a]acpjapan.org([a]をアットマークに変えてください)まで返金する銀行名・支店名・名義人名・口座番号も一緒にご連絡ください。(返金時の振込手数料はキャンセルされた方のご負担となります。ご了承ください)
※2020年11月20日(金)までに返金口座情報をお知らせいただけない場合は、返金をいたしかねますのでご了承ください。
ご不明な点などあればACP日本支部事務局office[a]acpjapan.org([a]をアットマークに変えてください)までご連絡をお願いいたします。