大学紹介

広島大学

【教育】地域で活躍し、さらに世界に情報を発信する医師の養成を目指して

広島大学医学部附属医学教育センター センター長 放射線診断学 教授 粟井 和夫

粟井先生広島県は比較的都会と思われている方も多いと思いますが、実は広島県の北には無医地区が53地区もあり、これは北海道に次いで全国で2番目に多い状況です。したがって、これらの無医地区を解消し、県内の医療レベルを均てん化することが広島県の医療における重要な課題です。私ども医学科でもこのような状況を受け、いわゆる「ふるさと枠」の学生20名の受入の他、一般入試で入学した学生に対しても地域医療の教育に熱心に取り組んでいます。5年生の地域医療実習では、学生が班に分かれて県内5つの中間山地の病院で4泊5日の泊まり込みで実習する他、系統講義等でも地域医療に関する教育を積極的に取り入れています。一方で本学では、世界に向けて新たな医学的な知見を発信できる研究医の養成にも力を入れており、医学科にMD-PhDコースも設定しています。これは、4年生を修了した時点で通常の医学科コースを中断し、大学院に進学して4年間研究に従事し、学位取得後に再び5年生の臨床実習から通常のコースに戻り臨床の修練を行うものです。平成26年度はこのコースの初めての学生が大学院に進むことになっており、彼らが今後どのように活躍をするか楽しみなところです。また昨年からは、4年生を対象に4か月間、各研究室に配属しもっぱら研究に従事する研究実習も始まりました。4か月の終わりには、学生全員が成果をポスターにまとめプレゼンテーションを行い、優秀な研究の表彰も行っています。この発表会・表彰会は、医学科を挙げての大イベントに成長しつつあります。地域医療の充実と高い医学研究レベルの維持というのは、相反する要求のようにも思われますが、それを実現するべく本学医学科では常にカリキュラムの改善を行っています。

【研究】研究医育成と国際的研究力強化

広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 医学部長補佐 今泉 和則

平和都市広島市の中心に位置する広島大学霞キャンパスに、医学、歯学、薬学、保健学、大学病院、原爆放射線医科学研究所からなる医療系の全ての研究分野を集結した医歯薬保健学研究科が平成24年に設置されました。部局の枠を越えた新たな研究集団を形成し、国際的競争力をもつプロジェクトを積極的に推進しています。医学科では、教員や大学院生により、肝疾患や整形外科領域での再生医療研究、脳と心の科学、医工連携による先進医療研究等世界でもトップレベルの研究を展開しています。平成25年度に文部科学省の「研究大学強化促進事業」において、研究大学として本学が選定されたことから、10年後には世界のトップ100の大学に仲間入りできるよう研究力強化により一層努めています。

研究医の必要性が叫ばれる中、本学では研究マインドをもった医師育成のためのプログラムを推進しています。ひとつは「MD-PhDコース」です。AO入試で選抜した学生(定員5名)に、世界トップクラスの研究者になるための英才教育を学部4年終了時から実施するプログラムです。もうひとつは、「医学研究実習」です。4年生の全員が10月から1月末までの4か月間、広島大学医学部の各研究室のみならず、国内外の大学・研究機関に配属され基礎・社会医学研究に触れるというものです。実習終了時には、4年生学生と医学科教員全員が参加し、学会形式で研究成果発表会が行われます。中には実習期間中の成果を全国規模の学会で発表し賞を受賞した学生もいます。このように本学医学部では、特色のあるカリキュラムにより将来世界レベルで活躍が期待できる研究医の育成に努めています。難病のメカニズム解明や治療法開発に挑戦する、まさに「最高の遊びである」サイエンスを学生が学び育み、そして遺憾なく能力を発揮できる環境が整えられています。

【学生生活】様々な関心をもつ学生の背中を押してくれる

広島大学医学部 5年 満嶋 マリア

広大の特徴は、学生全員が一つの方向に向くんじゃなくて、学生の様々な関心に対して大学側が色んな道を示してくれるところかなと思っています。研究に強い関心がある学生に対しては、私たちの代から4か月間の医学研究実習が始まりましたし、4年生が終わった時点でいったん休学して大学院へ進むMD-PhDコースも用意されています。とにかく臨床がやりたい学生に対しては、外科の手技を練習する場所を提供してくれたり、内視鏡やロボット手術のシミュレーターを使って勉強させてくれたりします。各分野でスタンダードはしっかり押えながら、学生のニーズを広く汲み取ってくれるところはとても良いと思います。

私は大学の交換留学制度を使ってドイツへ留学をしました。精神科と神経内科に興味があり、神経内科で実習させていただきました。その頃、ちょうど個人的に医療の意味とか限界について悩み始めていた時期だったので、色んな人の話を聞けば参考になるかもしれないという思いがありました。他の人たちが医療の問題についてどう思っているのか純粋に知りたいのもありましたし、全く違う土地で自分の悩みはどう映るんだろうっていうのが知りたいという興味もありました。そういう時期に、留学という機会を与えてもらったのは有り難いことだったな、と思っています。

広島に住んでいて思うのは、方言やお好み焼きなど、独自の文化がしっかりあって、みんな広島に対する郷土愛が強いなあということです。私自身は県外の出身なんですが、ここで学んで生活していると、自然と自分も広島のことが好きになっているし、居心地が良くなっていますね。少し出れば瀬戸内の海で釣り三昧も可能ですし、夜はみんなと街で飲めるし(笑)。学生には魅力的な場所だと思いますよ。

※医学生の学年は取材時(2014年2月)のものです。

 

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