医師のみなさまへ

医師主導の職業規範に関するWMAマドリード宣言

 

2009年、WMAニューデリー総会で採択

医師が、自らが定める職業規範の責任を果たすという点で、患者の利益のために一致団結し行動することは、各々の医師が、何人からも干渉を受けずに自らの判断で診療する権利をより確実に保証することとなる。

したがって、WMAは、各国医師会およびすべての医師に対し、以下の活動を行うように要請する。

  1. 医師は、高度なプロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性を社会より与えられていることで、外部からの不当な干渉を受けずに患者の最大利益を基準とした助言を行うことができる。
  2. プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性という権利を与えられるということは、 当然の結果として、医師は自己規律に継続的に責任をもたねばならない。医師の個々の研修、知識、経験および専門技術に基づき、最終的な管理および意思決定の権限は、各医師に委ねられなければならない。
  3. 各国の医師は、医師主導の合理的な職業規範を確立し、これを維持し、そして積極的に参加するよう勧告する。医療行為の決定においても、医療の完全な独立を保証するのは、そのような積極的な取り組みである。
  4. 各国医師会は、代表者としての責務と規制者としての責務の両方を担うことで生じる潜在的な利益相反によって影響を受けることがないように、会員および一般市民を対象として、医師主導の職業規範の概念の理解や支持の促進のために最善を尽くさなければならない。
  5. いかなる医師主導の職業規範も、以下の事項を保証しなければならない。
     a.患者に提供される医療の質
     b.医療を提供する医師の能力
     c.医師の職業上の行為
    医師は、患者に対し、良質で継続的な医療を保証するために、臨床知識、技術、臨床能力の向上および維持を目的として、積極的に継続的な専門性向上のプロセスに参加しなければならない。
  6. 医師の専門職としての行動は常に、医師が遵守すべき職業倫理規定に沿っていなければならない。各国医師会は、患者の利益のために、医師の倫理的行為を促進しなければならない。倫理違反は速やかに認識され、報告されなければならない。誤りを犯した医師はしかるべき懲戒をうけ、可能な限り更生されなければならない。
  7. 各国医師会は、医師主導の職業規範に対する潜在的な違法な脅威への対処も含め、新しい問題や起こりつつある問題に対応し、相互に助け合うことが求められる。患者の利益のために、各国医師会の間で情報交換や経験を伝えあうことが不可欠である。
  8. 各国における医師主導の職業規範の効果的かつ責任あるシステムは、私利的または内部保護的であってはならず、また、公平、合理的で、十分な透明性を備えていなければならない。各国医師会は、自己規律システムが、医師を保護するものとしてだけではなく、医師という職業そのものの名誉を守り、そして、一般市民の安全、支持および信頼を維持すべきものであると会員が理解するよう支援しなければならない。

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