日医定例記者会見 9月30日
横倉会長は、安倍晋三内閣総理大臣が9月24、25日に行った記者会見の中で、豊かで活力あふれる日本をつくるための方策として打ち出した「新3本の矢」(「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」)を高く評価したいとするとともに、その実現に向けた所感を披瀝(ひれき)。国民が必要とする医療を過不足なく提供し、安定した社会をつくっていけるよう、引き続き努力していく考えを示した。
同会長は、まず、安倍総理が掲げる「ニッポン『1億総活躍』プラン」の実現のためには、今後も社会保障を充実させることで国民の不安を取り除き、「安心につながる社会保障」を示し、より一層安定した社会をつくっていく必要があるとするとともに、かかりつけ医を中心とした「切れ目のない医療・介護」が提供できるよう、地域包括ケアシステムを構築していくことが重要になると指摘。
更に、同会長は、地域の医療提供者を代表する医師会が、行政と連携しながら、システムの構築に主体的な役割を果たしていく必要があるとし、日医としても、全国の地域医師会が地域包括ケアシステムの構築に積極的に関わることを引き続き支援していくとした。
安倍総理が打ち出した「予防に重点化した医療制度への改革」に関しては、乳幼児期から学童期、就学期、就労期、高齢期にわたる各種保健事業を体系化し、生涯保健事業として再構築することが肝要であると指摘。
また、「企業による健康経営、健康投資を促す仕組み」についても、「日本健康会議」に参画し、予防・健康づくりの推進などの観点から、積極的に関与していくとした。
「介護離職ゼロ」を目指して施設整備や介護人材の育成を進めるとしたことについては、平成27年度の介護報酬改定が大幅なマイナスとなり、介護施設・事業所の経営状況が厳しくなっていることを説明。今後は、経営基盤の安定に繋(つな)がるしっかりとした財源の確保が必要になるとした。
「新3本の矢」の一つである「夢をつむぐ子育て支援」については、(1)2006年に「子ども支援日本医師会宣言」を宣言した他、母子保健講習会を開催するなど、少子化対策を推進してきたこと(2)本年4月に母子保健検討委員会が中間答申として、子育て世帯を社会全体で支援するという理念の実現のためには「成育基本法」の早期の制定が重要であるとした「少子化対策に関する政策提言書」を取りまとめたこと─等、日医のこれまでの活動を紹介。政府に対しては、引き続き、日医と共に、少子化対策を推進していって欲しいとした。
また、「1億総活躍」社会づくりに取り組むために担当大臣を新設し、その下に国民会議を設置する考えを示したことに関しては、「これまでの日医の活動を踏まえ、国民会議で地域医療の現場からの意見が反映されることを望みたい」と述べた。
9月30日 日医 定例記者会見