日医定例記者会見 9月7日
横倉義武会長は、本年6月にOECDから公表された「Health Statistics 2016」の内容に対する日医の見解を説明した。
「保健医療支出の範囲の定義」については、保健医療は国によって制度が異なり、全ての国が同じ手法で保健医療支出等を推計しているわけではないことを説明。日本の対GDP保健医療支出が上昇していることに関しては、「日本では確かにGDPが伸び悩む中で社会保障支出が伸び続けているが、今回の調査から統計に訪問・通所介護、介護老人福祉施設(特養)等を加えられたことがその主因である」と強調した。
「対GDP保健医療支出」については、高齢化率との関係で見ると、日本は高齢化が進んでいる割に対GDP保健医療支出は高くなく、新基準では一人当たり保健医療支出は15位となっているとした上で、「高齢化によって対GDP比では順位が高くなるものの、一人当たり費用を見ると一定の抑制が働いているのではないか」という医療経済研究機構の意見もあることを紹介した。
「診療技術料及びサービス料」に関しては、医療財以外の支出として分析を行うと、直近の日本の一人当たり診療技術料及びサービス料は、データのある31カ国中17位(OECD平均を若干上回る程度)であり、日本の医療における診療技術料は国際的には決して高くない状況にあるとした(図)。
「一人当たり医薬品及びその他の非耐久性医療財支出の推移」については、データのある32カ国中2位と上昇傾向が続いていることに言及。「OECDの諸外国が抑制的であるのに対し、日本では一人当たり医薬品及びその他の非耐久性医療財支出が経済危機の2009年以降も伸びているということは、日本の医薬品支出は国際的に極めて高い水準であることを示したものであり、特筆できる」と指摘した。
これらのことを踏まえて、横倉会長は、「医療費推計の計算方法が提示されているとはいえ、各国の保健医療制度、その推計手法や推計範囲も異なっているため、この国際比較のデータは、おおまかなイメージをつかむ程度のものと考えるべきである」と述べた上で、本データを基にした一部メディアの報道に対しては、「一部のデータを取り出して日本の医療を議論することは誤った認識を生む可能性があり、さまざまなデータと比較した上で議論する必要がある」との認識を示した。
なお、資料の詳細は、日医総研のホームページに掲載予定となっている。
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