日医定例記者会見 8月3・10日
道永麻里常任理事は、昨今、一部メディアにおいて一部の医薬品及び手術の効果を否定するような報道がなされていることに対して、「多くの患者を救っている医薬品及び手術について、一部の限られた側面からのみ論じることは、国民の不安を煽(あお)ることになり、適切な医療へのアクセスを阻害することになるのではないか」との懸念を示した。
同常任理事は、報道されている医薬品に関して、日常的に服用する医薬品も含まれているが、その処方の多くに地域のかかりつけ医が携わっているからこそ、患者はそれぞれの症状にあった医療を受けられるだけでなく、適切な受療行動、重複受診の是正、薬の重複投与の防止等による医療費の適正化にもつながっていると指摘。
また、①"副作用が全くない薬"は存在しないことから、処方する医師は投薬後の患者の変化に注意を払うことで、万が一、副作用が発生した場合にも早期に対処する等、治療の適正化を図っている②手術についても、それ自体がリスクを伴う行為であることから、医師は患者の治療の選択肢として手術を勧めるに際し、その手術に関して良い点も悪い点も含め、患者及び家族への十分な説明を丁寧にするよう努めている―ことなどを説明。患者が医師と関わりを持つことの重要性を指摘するとともに、日医としても、医師が専門性を発揮しつつ「かかりつけ医」として適切に患者の相談等に対応できるよう、「かかりつけ医機能研修制度」を始めたことを報告した。
その上で、「『かかりつけ医』は、患者にとって最も身近な医師であり、治療で不安なことがあれば相談してもらえるよう、我々医師の側においても、引き続き日々研鑽(けんさん)に努めるとともに、患者一人ひとりに最適な治療を提供できるよう、国や関係職種と共に医療の質の向上に尽力していく必要がある」との考えを示した。
更に同常任理事は、報道を預かるという重責を担うメディアに対して、「患者及び家族が、メディアやインターネットから得た不確かな情報に触れることで不安を覚えることがあることを、医療者のみならず医療に関わる報道関係者も認識しておく必要がある」と述べるとともに、医療全般における正確な情報提供への配慮を求めた。
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