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平成27年(2015年)11月20日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「在宅医療・介護連携推進事業」に関する日医の見解

 介護保険における地域支援事業の「在宅医療・介護連携推進事業」については、本年2月25日の定例記者会見で日医としての見解を示している別記事参照が、厚生労働省より本事業に関する今年度の「実施状況調査結果(速報値)」が公表されたことを受け、鈴木邦彦常任理事が、本事業に関する日医の見解を改めて示した。
 初めに同常任理事は、介護保険制度の全体像の中の「包括的支援事業」について、平成26年度までは地域包括支援センターの運営に関する事業が実施されてきたが、介護保険法の改正によって見直された平成27年度からは、これに加え、地域包括ケアシステム構築の要ともいえる、「在宅医療・介護連携の推進」に関する事業が位置づけられたこと、また、本事業の事業項目として挙げられた8つの取り組みについて、市区町村を実施主体として今年度より順次実施し、平成30年度には全ての市区町村でこれらを行うことになっており、各事業はそれぞれ委託が可能とされていることを説明。
 更に、この市区町村が実施主体となって取り組むものとされた「在宅医療・介護連携推進事業」については、これまで、医療に関する提供体制の整備等についての施策が、保健所の参画等も含め、都道府県が中心となって二次医療圏や三次医療圏を対象として対応してきたため、政令指定都市等の大都市を除き、一般的に市区町村には医療施策にかかる取り組み実績が少なく、在宅医療と介護の連携に関するノウハウの蓄積は、各市区町村の実情に応じて多様であることを指摘した。
 また、本事業は、検討段階から医師会を始めとした医療・介護の関係団体や関係者との緊密な連携が不可欠な事業とされているが、市区町村にとっては、特に医療関係者との調整等についての経験の有無等、実情もさまざまであるため、その状況に応じて、都道府県行政の積極的な支援が重要であり、併せて、市区町村と郡市区医師会との連携が円滑に行われるよう、都道府県医師会による郡市区医師会への支援が不可欠との考えを示した。

市区町村への支援の差が実施率に大きく影響
 その上で、同常任理事は、厚労省が実施した「平成27年度在宅医療・介護連携推進事業の実施状況調査結果(速報値)(都道府県別の状況)」について触れ、(1)取り組み実施数では、「平均実施数」を見ると、福井や滋賀では8つのうち既に約5・5の取り組みが実施されている一方、香川や沖縄のように、平均で1に満たない地域もある(2)委託状況等では、「事業委託あり」を見ると、東京や広島のように約6割を委託している地域もあれば、秋田や佐賀など1割以下の地域もある─など、本事業の取り組みには大きな地域差があることを指摘。
 更に、8つの取り組みの個別の実施状況も同様で、全体的な傾向として、本事業の実施率が高い地域は、都道府県や保健所による市区町村支援の実施率が高い傾向にあることなどを解説した。
 最後に同常任理事は、「本事業の取り組みは地域包括ケアシステム構築に向けた要とも言えるものであり、平成30年度には全市区町村で確実に本事業が実施されなければならないことから、地域住民に資する意義のある事業となるよう、都道府県行政には、市区町村の状況に応じた積極的な支援をお願いしたい」と要望。
 それとともに、「日医としても、都道府県医師会に本事業への理解をより深めてもらい、必要に応じた郡市区医師会への支援、市区町村行政と郡市区医師会との連携支援につなげてもらえるよう、例えば今年度中に都道府県医師会担当理事連絡協議会を開催するなどの取り組みを進めていきたい」と述べた。

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