日医定例記者会見 3月23日
今村聡副会長は、医業税制検討委員会が取りまとめた答申の内容を説明した。
本答申は、横倉会長から「『医療における税制上の諸課題』および『安定的医業経営のためにあるべき税制』」について諮問を受け、鋭意検討の上、取りまとめられたものである。
内容は、(1)控除対象外消費税の解消策、(2)医療法人税制の課題(移行税制、事業承継税制)、(3)予防医療に関する税制の諸課題─からなっており、それぞれにまとめとして提言がなされている。
(1)では控除対象外消費税の問題は喫緊の課題であり、平成29年度税制改正要望に当たって解消策の一本化を図る必要があると指摘。その具体策として、当局が診療報酬に仕入税額相当額として上乗せしている2・89%相当額を上回る仕入消費税額を負担している場合には、その超過額の税額控除あるいは還付を認める新たな制度を提言している。
(2)では、移行税制に関して、持分あり医療法人が持分なし医療法人にスムーズに移行できるよう、①出資持分を基金に拠出した場合のみなし配当課税及び持分を放棄した場合の相続税法66条4項の規定による贈与税については課税しないこと②相続税法施行令33条3項の要件の緩和─を要望。
また、事業承継税制については、①持分あり医療法人出資に対して、非上場株式等に係る事業承継税制に準じた制度の創設②平成26年度税制改正により創設された「医業継続に係る相続税及び贈与税の納税猶予等」に係る要件の緩和③持分あり医療法人の持分の価値を評価している財産評価基本通達194-2項の見直し─等が必要だとしている。
更に、(3)では、予防医療に対するインセンティブを確保するため、医療費控除及び所得控除の範囲の拡大を各方面に訴えていく必要があるとしている。
答申の内容を説明した今村副会長は、答申の中に示された控除対象外消費税の解消策について、「病院団体始め、日本歯科医師会、日本薬剤師会からも異論は出されておらず、この考え方が、現時点での医療界のまとまった考えである」とした上で、今回の考えを中心として、更に議論を重ね、平成29年度の税制改正要望を取りまとめていきたいと述べた。
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