日医定例記者会見 5月26日
横倉義武会長は、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる「骨太の方針2016」)(素案)等に対する日医の考えを説明した。
「骨太の方針2016」に関しては、改革検討項目にある「高齢者のフレイル対策の推進」「現役被用者の報酬水準に応じた保険料負担の公平化」など、日医が考える方向性とほぼ同じ項目があるとする一方、「全国一律に過不足ない公平な医療を提供する観点」や「応能負担と患者負担の増加の観点」から受け入れ難い提案もあると指摘。
医師の偏在の問題に関しては、「地域医療構想等を踏まえ、規制的手法も含めた地域偏在・診療科偏在対策を検討する」とされた当初案から、「規制的手法も含めた」という表現が消え、「実効性のある」という表現になったことを踏まえ、日医・全国医学部長病院長会議・医師偏在解消策検討合同委員会が取りまとめた「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」の実現に向け、引き続き努力していくとした。
また、人生の最終段階における医療の在り方については、今後、リビングウィルの更なる普及・啓発のために、医療関係者のみならず、宗教家や法曹界等さまざまな関係者も交えて、国民の合意を得て、進めていく必要があるとの考えを示した。
一方、「規制改革に関する第4次答申」については、(1)在宅での看取りにおける規制の見直し、(2)診療報酬の審査の効率化と統一性の確保、(3)一般用医薬品及び指定医薬部外品の広告基準等の見直し―の3つの規制改革項目に対する日医の考えを説明した。
(1)については、「在宅での看取りを安心して進められる環境整備と共に、亡くなられた方の死亡確認、死因の正確な究明も、一国の医療・保険制度の中では決しておろそかにはできない重要な柱であり、今後は医療現場、国民生活のいずれにも混乱を来すことのないよう求めていきたい」と述べた。
(2)については、効率化も必要であるが、現状の質の高い、適正な審査が阻害されることのない対応が必要であるとして、引き続き厚生労働省に設置された「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」の議論の中でも、厳しく意見具申していく姿勢を示した。
また、(3)については、一般用医薬品の広告基準を緩和する方向にならないよう求めるとともに、むしろ健康食品の広告に一定の規制をかけるべきとした。
この他、「ニッポン一億総活躍プラン」に関しては、社会保障の基盤強化、高齢者の就業促進や健康寿命の延伸などが掲げられていることを評価する一方、その関連する予算については、「平成30年度までの3年間の社会保障関係費の伸びを1兆5000億円程度に抑えることを目安とする方針」(「骨太の方針2015」)とは別枠で、必要な財源を確保すべきと強調した。
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