閉じる

令和4年(2022年)5月20日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」を公表

「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」を公表

「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」を公表

 中川俊男会長は4月27日の定例記者会見で、日本医師会が、かかりつけ医を取り巻く社会の変化を踏まえ、国民に寄り添うかかりつけ医のあり方を真摯(しんし)に見つめ直して取りまとめた「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」(全文別掲)を紹介し、その内容を概説した。

 中川会長は、本文書を4月22日に岸田文雄内閣総理大臣と面談した際に手渡し、説明する(関連2面)とともに、都道府県医師会、郡市区医師会、会員には手紙を添えて送付することを報告。その手紙には、新型コロナウイルス感染症が流行する中、日本医師会として、国民の更なる信頼に応えられるよう、これまで以上にかかりつけ医機能を強化するため、改めて国民に寄り添うかかりつけ医のあり方を真摯に見つめ直したことが記されているとした。
 今回の取りまとめについては、その冒頭に日本医師会の思いとして、「かかりつけ医」は一人ひとりの患者とかかりつけ医の信頼関係が絶対的な基礎としてあり、これまで以上に患者と医師との関係を、より温かみのあるものにしていく姿勢を打ち出していることを説明。
 医療のデジタル化を進めることに言及した他、地域社会におけるかかりつけ医機能として、既に地域医師会を中心に実践している諸活動を明示したとし、「より多くの医師に、それぞれの特性を生かしてこうした活動に参加してもらえるように努めていきたい」と述べた。
 更に、地域住民の方にかかりつけ医をもってもらうための情報についても、しっかりと発信していくとし、「今回の取りまとめは、かかりつけ医機能を果たしていく医師の覚悟を示したものである」と強調。文書の結びでは、「かかりつけ医」は患者自身が決めるものであり、日本医師会は必要な時に適切な医療にアクセスすることができる現在の仕組みを守るとの姿勢を示し、かかりつけ医として、患者に更に信頼してもらえるよう努めていくことをうたっているとした。
 その後の記者との質疑で、2013年の四病院団体協議会との合同提言との違いを問われた中川会長は、「合同提言の時は病床機能が大きなテーマだったが、今回はかかりつけ医に焦点を当てている」と回答。また、(1)かかりつけ医は患者が医師を表現する言葉である、(2)患者ごとにかかりつけ医は異なり、患者にふさわしい医師が誰かを数値化して測定することはできない、(3)患者が信頼できる医師がかかりつけ医である―ことを明示した点を挙げた。

かかりつけ医の制度化は認められない

 また、財務省が求めているかかりつけ医の認定制や制度化についての質問には、「医療費抑制のために国民の受診の門戸を狭めるということであれば認められない。かかりつけ医機能は地域でさまざまな形で発揮され、患者さんとかかりつけ医の信頼関係を絶対的な基礎として、日本の医療を守ってきた。そうした日本の財産を『制度化』で一刀両断に切り捨てることになってはならない」と応じた。

国民の信頼に応えるかかりつけ医として

日本医師会の思い

 「かかりつけ医」とは、患者さんが医師を表現する言葉です。
 「かかりつけ医」は患者さんの自由な意思によって選択されます。どの医師が「かかりつけ医」かは、患者さんによってさまざまです。患者さんにもっともふさわしい医師が誰かを、数値化して測定することはできません。だからこそ、わたしたち医師は、心をこめてひとりひとりの患者さんに寄り添います。そうして患者さんに信頼された医師が、「かかりつけ医」になるのです。
 患者さんと「かかりつけ医」の信頼関係にもとづいて、全国でさまざまな形のかかりつけ医機能が発揮されています。わたしたち医師は、かかりつけ医機能をさらに進化させるとともに、より温かみのあるものにしていきます。

「かかりつけ医」の努め

 わたしたち医師は、患者さんに信頼される「かかりつけ医」になるべく、これまで以上にかかりつけ医機能を発揮し、誠意をもって、患者さんを包括的かつ継続的に支えていきます。
  • 患者さんに、いつでも、なんでも相談していただけるよう、しっかりとコミュニケーションをとって診察します。診察の結果をわかりやすい言葉で伝え、患者さんのライフスタイルを理解したうえで患者さんと治療目標を共有します。必要なときには、適切なタイミングで適切な専門の医師や医療機関につなぎます。そのために日頃から、地域の医師たちとの対話を深め、患者さんをチームとして支えます。
  • いつでも安心していただけるよう、かかりつけ医を中心に地域の医師がチーム一丸となって患者さんを支えます。外来へのアクセスが困難な患者さんのために、在宅医療やオンライン診療など、患者さんのそばに寄り添える方法を選択します。
  • 日々、新しい医療技術の研鑽を積み、患者さんおよびご家族とともに最善の治療を選択します。
  • 患者さんの意思を尊重し、ご家族とともに、患者さんの尊厳ある生き方を支えます。
  • 予防接種や健康診断を担い、生活のこと、仕事のことも含め幅広く患者さんおよびご家族からの健康相談を受け、必要なときに適切な医療につなげます。
  • 患者さんの主治医意見書の作成をはじめ、患者さんの希望を受け止めて、地域の介護サービスや福祉サービスにつなぐなど、地域包括ケアシステムの中で求められる役割を果たします。
  • 患者さんがもっとも安心・安全かつ効率的に最善の医療に到達できるよう医療のデジタル化を進めます。患者さん個人を守ることを絶対の条件として、また、地域住民の方がより効果的に予防・健康づくりを進められるよう、医療情報を活用します。

地域社会におけるかかりつけ医機能

 わたしたち医師はお互いに協力し、また、さまざまな職種の方とも協力して、医師それぞれの特性を活かして地域の健康を支えます。主に医師会活動として行っています。
  • 健康相談、予防接種、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健などの社会的な活動や、警察医などの行政活動に協力します。
  • 災害が起きた地域の医療支援活動に参加し、被災者の方の健康管理や診療などを担います。
  • 24時間365日、安心して相談、受診していただけるよう地域の医師同士で連携する体制をとるとともに、在宅当番医や休日夜間急患センターの業務を分担します。

地域住民の方に「かかりつけ医」をもっていただくために

 医療法では「国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能分担及び業務の連携の重要性についての理解を深め、医療提供体制の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない」と定められています。
 日本医師会は、国民の方に「かかりつけ医」をもっていただくための判断材料を提供します。
  • 地域の方々が、「かかりつけ医」になりうる医師を探すことができるよう、それぞれの医師が担っている機能、専門分野や強みのある分野などについて、情報をわかりやすく公開します。
     現在、47都道府県で「医療機能情報提供制度(医療情報ネット)」が整備され、全国すべての医療機関の診療科目や対応可能な治療等が公開されています。日本医師会は国や都道府県医師会と協力して、患者さんにとってさらにわかりやすい情報提供を進めます。
  • 地域医師会は、市民向け講座などを通じて、住民の方々とともに、地域の予防・健康づくりを進めます。

 日本医師会は、必要なときに適切な医療にアクセスできる現在の仕組みを守ります。そして、「かかりつけ医」として、患者さんにさらに信頼していただけるよう努めていきます。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる