大学紹介

昭和大学

【教育】社会ニーズを先取りしたIPE

昭和大学 医学部 医学教育学講座 教授 高木 康

多田先生昭和大学は医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部からなる医系総合大学であり、チーム医療に積極的に貢献できる人材養成を全学部の共通教育目標としています。この目標を具現化するために、全学年にわたる体系的、段階的な学部連携教育(多職種連携教育、inter-professional education:IPE)カリキュラムを実施しています。

IPEは1年次の山梨県富士吉田市の全寮生活でのPBLチュートリアルで始まります。将来、患者中心のチーム医療を実践するために必要な人間関係の基盤を築くことを目的として、4学部学生のそれぞれの視点から、健康に関わる様々な場面における問題解決のプロセス、各職種の役割と連携を相互に理解し、協調し合いながら問題解決策を提示することのできる態度と技能を身につけます。3年次(保健医療学部2年次)では患者症例をもとにした臨床シナリオ、4年次(保健医療学部3年次)では病棟での資料を用いた病棟実習シミュレーションのPBLチュートリアルを行います。これらにより、専門職として患者の問題解決を行い、学部の枠を超えて患者のために討議するマインドを醸成します。そして、5年次(保健医療学部3・4年次)にはそれまでの学修をもとに、4学部の学生医療チームを形成し、同じ患者を1週間担当し、学生医療チームとして患者を診療する学部連携病棟実習を附属7病院の約40病棟で行います。さらに、地域社会で患者中心の医療を実践できるように、診療所や小規模病院での多職種連携臨床実習も計画しています。

チーム医療、専門職連携(IPW)は社会ニーズであり、その基盤としての態度と技能を修得するには学生時代からのIPEが重要であり、このIPEが全国的に広がることで、IPWが実践され、国民の健康増進・福祉に貢献できるものと確信しています。

【研究】基礎と臨床の循環型医学研究の推進

昭和大学 医学部 外科学講座 乳腺外科学部門 教授 中村 清吾

乳がんというものは、たとえ1cmの大きさでも数十億の細胞の塊であることから、初期の段階から全身病として捉える必要があります。手術で完全に切除できたとしても、多くの人は再発予防のための薬物療法を必要とします。1980年頃にフィッシャー等(米国)が大規模ランダム化比較試験を行うことで、早期乳がんに対する乳房温存療法の正当性を科学的な根拠をもって証明しました。現在では、乳房温存療法に加え、リンパ浮腫などの合併症を防ぐために、最初にリンパの流れを受けるリンパ節に転移がなければ、その先のリンパ節には転移がないものとみなして郭清を省略するというセンチネルリンパ節生検が主流となっています。昭和大学ブレストセンターは、乳がん診療を集学的に行う国内有数のセンターであり、上記のような標準治療を塗り替える大規模臨床研究にも数多く参画してきました。

近年、がん薬物療法においては、細胞内の増殖メカニズムが分子や遺伝子レベルで解明され、それに基づく薬物(分子標的薬)が開発されています。発がんのメカニズムは複雑で、個々の患者によって発現様式や再発リスクが異なるため、薬剤選択も一様ではなく、治療の個別化はますます進むものと思われます。発がんのメカニズムが解明されれば、予防や早期発見にも大いに貢献することが期待されます。そのためには、分子生物学(遺伝学)、EBMに基づく臨床医学及び大規模臨床データベース(組織バンクを含む)、生物統計学の三位一体となった取り組みが必要です。本学では、臨床側のニーズを、基礎研究で見出されたシーズを用いていかに解決していくかという臨床研究が盛んに行われており、附置研究所である腫瘍分子生物学研究所は、その中核をなしています。また、2015年4月にスタートする日本医療研究開発機構(AMED)での研究プロジェクトへの参画も期待されています。

【学生生活】多職種と同じ屋根の下で学ぶ

昭和大学 医学部 3年 髙橋 和樹

昭和大学の大きな特徴として、1年次の寮生活が挙げられます。医学部・歯学部・薬学部・保健医療学部の1年生は山梨県にある富士吉田キャンパスで学ぶことになるのですが、そこでは学部混合の寮生活を送ることになっています。

僕の場合は医学部2人、薬学部1人、歯学部1人の4人部屋でした。同居人と医療の話をしていると、僕たち医学生は最新の医療を提供することを考えますが、薬学部の学生は患者さんの経済状況まで考えて安価な薬を出すことを考えたり、歯学部の学生は患者さんの「食」に関するQOLについての関心が強かったりと、医学生とは違う観点を持っているのだと知ることができました。

チーム医療についての授業は全国の大学で行われていると思いますが、他の職種について知ることに関して、同じ釜の飯を食べながら医療について語る生活に勝る学びはないと思います。

カリキュラムのなかで印象的なのは3年次に行う地域医療実習です。この実習は都内のクリニックなどに3日間伺って見学などをするものなのですが、5年次の実習で同じ施設にもう一度お世話になる仕組みです。

僕は両親が耳鼻咽喉科で開業していることもあり、耳鼻咽喉科のクリニックに伺いました。都内のクリニックなので、受診する患者さんも子どもから高齢者まで多様で、症状も様々です。待合室に自己紹介のポスターを貼らせてもらって、先生が患者さんを診察・治療する様子を見せていただきました。

3年の段階ではできることは限られていましたが、これから勉強を積み重ねて、また5年次に伺う頃には先生や患者さんに成長した姿を見ていただけるように頑張っていきたいと思っています。

※医学生の学年は取材時のものです。

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