皆さんは、「ダイバーシティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ダイバーシティは、今の社会や組織・企業のあり方を考えるうえで重要なキーワードになっています。グローバル化が進み、また高齢化で日本の労働人口が減っていくという社会背景のなかで、多様な人材を組織に登用し、一人ひとりが活躍できるようにしようというダイバーシティの考え方が、日本の企業や組織の中にも少しずつ浸透し始めています。

医師の世界では、多様性を受容しようという動きが、まだあまり盛んとは言えません。しかし、持続的に日本の医療を支えていくには、本当にこのままの状態でいいのでしょうか?

もちろん、多様性を受容し、皆が働きやすいように制度を変えていくには、様々な困難を伴うでしょう。ただでさえ過酷な医療現場で、さらに今の医療のあり方を変えていくための作業や時間も増えるとなると、後ろ向きに捉えてしまう人もいるかもしれません。そこで今回の特集では、単に「ダイバーシティを高めよう」というのではなく、「ダイバーシティとは何か」「ダイバーシティが高まることで、どのようなことが起きるのか」というところまで掘り下げて、考えていきたいと思います。

『ドクタラーゼ』第29号特集「医師とダイバーシティ」参考文献:
尾崎俊哉著「ダイバーシティ・マネジメント入門 経営戦略としての多様性」(ナカニシヤ出版、2017)
D・J・グッドマン著「真のダイバーシティをめざして 特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育」(上智大学出版、2017)
濵島朗・竹内郁郎・石川晃弘編「社会学小辞典[新版増補版]」(有斐閣、2005)
山口一男著「働き方の男女不平等 理論と実証分析」(日本経済新聞出版社、2017)