交流ひろば

中国医学と西洋医学の融合で、より多くの人を救いたい

関西中医学研究会ひょうたん 学生代表 京都大学医学部医学科5年 山下 真弥

私は小学校に入学する前、アトピー性皮膚炎がひどく、かゆみに耐え切れず肘や足首をかきむしり、足首に至っては血まみれになり肉が見えるほどでした。その時の足の様子は幼かった自分にとってとても衝撃的で、今でもよく覚えています。病院に通うもなかなか治らないのを見かねた母は、他の方法はないかと考え、地元の漢方薬局に行き着きました。その薬局に通い続けて約2年後、皮膚の炎症は完全に消えました。

この時から、漢方ないし中国の医学に関心を持ち始め、医学部に進学し、「関西中医学研究会ひょうたん」と、そこで講師をしてくださっている今中健二先生に出会いました。

「ひょうたん」は、主に医療系学生で構成された学生団体で、西洋医学に加え中国医学も学び、治療の幅を広げようという理念で活動しています。中国で中医師 (中国医学で治療を行う医師)の資格を取得された後、日本で中国医学の普及に携わられる今中先生を師とし、月に1~2回勉強会をしています。それ以外にも介護施設で診断の練習をさせていただいたり、一般の方を対象に中国医学の座談会を開催したりしています。中国医学は2,400年の歴史を持ち、西洋医学とは異なる視点から診断を行い、治療方針を決めます。互いの強みを生かし、両方を適切に使いこなすことができれば、より多くの人を救うことができると信じて私たちは活動しています。

Facebook: https://www.facebook.com/hyotanTCMkansai/

Twitter:@hyotanTCMkansai

(写真左:アトピーを発症していた頃の自分、写真右:「ひょうたん」主催の座談会の様子 [中央:山下、右:今中先生])

 

医学生の声を医学教育に、そして社会に

全国医学生自治会連合 山口大学医学部医学科4年 医学部学生自治会長 持田 千幸

全国医学生自治会連合(以下、医学連)は、全国の医学部自治会組織と連携し、医学部のカリキュラムや留年問題、地域枠や医師の労働環境等、全国的な課題の解決に向けて取り組む組織です。月1回執行部で会議を行う他、各大学自治会との交流会も開催し、現在医学生が抱える問題を洗い出したり、他大学間で現状を共有し、状況の改善や発展につなげたりしています。年度末には毎年、集めた医学生の声を文部科学省や厚生労働省に届け、懇談の場も頂いております。そのために定期的に医学教育や医療政策、医師のキャリア形成など多様な分野からご高名な先生をお呼びして講演会も行い、医学生の代表として意見することができるよう、日々学習を深めています。毎年夏に行われる全国医学生ゼミナール(通称医ゼミ)も医学連が主催で運営しており、今年は山梨大学にて開催し、大盛況のうちに幕を閉じました。自治会活動や、医学生の抱える問題について学びを深めることのできた3泊4日であったと確信しております。

私自身、今年1年間大学内で医学部自治会長を務めており、カリキュラムや学校生活、学校設備についてアンケートを行い、それをもとに先生方と懇談させていただくなど、医学教育について話し合う機会に恵まれました。学生の声を寛大に受け入れ、検討してくださり、大変恵まれた環境であると痛感しております。

近年では、医学教育を含め、様々な分野で医学生から意見を発信していく自治会・医学連の活動がますます重要なものとなってきています。医学生が先生方や学外組織と恊働し、より良い医学教育の場や卒後の医療現場を目指していくことは非常に意義深いことです。共に学び、考え、より良い医学教育の場を作り上げていきませんか?

 

 

進路に悩める高校生へ大学生の「今」だから伝えられるメッセージ

IFMSA-JapanSCOME副責任者 加地 紫苑

「ロールモデルの先輩と話すことで、思い描いていた夢が明確になった。将来の夢を叶えるため、勉強を頑張りたい!」出張授業先の高校生の感想は、企画に携わるすべての医療系学生にとって大きな励みになります。私たちは大学や学部、学年も様々な大学生ですが、「多感な高校生の時期に、医療の世界に少しでも触れてもらい、進路選択に役立ててほしい」という想いで活動しています。

昨今、医療系学生の入学後のモチベーション低下が問題視されています。その背景には、高校生時点での医療職についての情報の不足が考えられます。各大学の「偏差値」だけではわからない魅力、多職種連携の意味、良い医療者とは…高校生が興味を持つテーマを中心に、体を使ったワークショップを通して大学生と共に学びます。

この企画は、私たち大学生にとっても大変意味のあるものです。大学で学んだ知識を高校生にもわかる言葉で説明することの難しさを多くの学生が実感します。医療系学生にとって出張授業は実際の医療現場で直面する「患者との円滑なコミュニケーション」を訓練できる場でもあるのです。

2019年2月より、北は山形から南は福岡まで9校で開催し、毎回好評を頂いております。

また、継続的かつ充実した内容の提供のために10月にはクラウドファンディングにも挑戦し、1か月足らずで目標の120万円を集めることができました。

未来の医療者となる高校生のために私たちは走り続けます。

 

 

No.32