大学紹介
奈良県立医科大学
【教育】地域に貢献できる総合力のある医師の育成を目指して
奈良県立医科大学 教育開発センター 教授 藤本 眞一
本学では、「MDプログラム奈良2006」における「6年一貫教育」「成人教育学に基づいた教育」「地域を基盤とした教育」の3つの方針のもとにカリキュラム改革を進めてきました。平成20年度からは入学選抜制度に「緊急医師確保特別枠」を新たに導入し、地域に定着する医師の養成を目標としています。この制度を希望して入学した学生の地域医療に対する意欲を卒業まで持続させるために、地域で教育し地域での交流の成功体験を増やすことによって地域への定着を促進するという考え方に基づいた「6年一貫の地域基盤型医療教育カリキュラム」を新しく策定し実施しています。このカリキュラムの根幹を成すのはメンター制度で、へき地医療のメンターにはへき地診療所医師、小児科・産婦人科・麻酔科・総合診療科のメンターには県医師会に協力を依頼し、学生は夏・冬休みを利用し実際の臨床の現場に出かけ、見学さらには介助者として活動もし、現地医師から指導を受けます。緊急医師確保特別枠、医師確保修学研修資金奨学生の学生は原則として全員参加としています。また、一般枠学生については、3年次と6年次にメンター医師である開業医を訪問し地域医療の現場を体験する「クリニック実習」を実施し、希望者については上記の奨学生と同じように休暇を利用しての実習の参加も可能としています。さらに6年次には卒後のキャリアパスを考えるコースとして、臨床医学、一部基礎医学の教授がメンターを担当するキャリアパスメンター実習を実施しています。この他、スキルラボについても早期からの充実を図っています。
以上のように、本学では、地域に根付き貢献することに喜びを感じ、地域の現場で役立つ総合力のある医師の育成を目指し、延いては地域医療の活性化に貢献することになれば無上の喜びと考えています。
【研究】臨床から基礎研究へ、基礎研究から臨床応用へ
奈良県立医科大学 副学長 車谷 典男
医師は温かい心とともに論理的思考が求められます。しかも、生涯にわたってです。研究への没頭は優れた臨床医になるための要石であり、魅力的な研究を通じて、それを磨きたいという医学生が登場することを期待しています。ここでは、本学の代表的な基礎研究と臨床研究の代表を一つずつ紹介させていただこうと思います。
基礎研究としては、優れた臨床観察から始まった小児科の息の長い研究を挙げることができます。吉田邦男初代小児科教授が1956年にわが国初血友病B患者を発見したことが契機になっており、その2年後には、後に2代目教授となる福井弘先生がわが国初のフォン・ビルブランド病患者を発見しています。以来、凝固・血栓・出血に関する蛋白・分子・遺伝子レベルの研究業績はこれら領域の先端を牽引し続け、国内外によく知られた出血・血栓性疾患の一大拠点となっています。2008年度には、フォン・ビルブランド因子の切断酵素の先天性欠損症を発見した藤村吉博教授(当時輸血部教授)がベルツ賞の栄誉に輝いています。
臨床研究としては、Interventional Radiology(IVR:放射線診断技術の治療的応用)を挙げたいと思います。低侵襲治療として近年急速に発展・普及している分野です。本学の放射線科はangiography(血管造影)の診断技術を応用して、いち早く肝臓がんの塞栓術を開発した教室として国際的にも知られています。その伝統を成長させて、対象臓器と対象疾患を画期的に広げ、わが国のIVR学の発展に大きく貢献してきました。心臓領域を除くほぼ全身すべての領域で年間1200件に及ぶIVRを施行する中で得られた業績は、本学が誇れる臨床研究になっており、集大成の一環として2014年6月には奈良市において第43回日本IVR学会総会を主催しています。
【学生生活】地域医療に貢献するために、最先端の医療を学ぶ
奈良県立医科大学医学科 4年 面川 渚
同 5年 奥田 宏純
面川:奈良医大には、3年次に幼稚園実習があって、地域の幼稚園に週1回、3~4ヶ月ほどお邪魔するんです。園児と一緒にお絵かきやボール遊びをしたり、お弁当を食べたりするんですが、子どもの発達過程を間近に見られる機会でもありますし、何より日頃小さい子と触れ合うことが少ないので、可愛くてとても楽しかったです。
奥田:僕は4年後期にあった公衆衛生実習が印象に残っています。奈良市の保健所に行ったんですが、野良犬の狂犬病拡大を予防する獣疫衛生の部署で、犬用麻酔の吹き矢の練習をさせていただきました。またHIVの検査をどうやって行うかを教えてもらい、近くのスーパーに行って食中毒の検査を見学するなど、日頃の授業では詳しく知ることがない公衆衛生の現場を見ることができました。
面川:うちの大学の特徴をひと言で表すと「ゆるく、仲がいい」ですかね。先輩・後輩の距離が近いと言いますか。私も今こうやって先輩と取材を受けているくらいですし(笑)。
奥田:例えば初期研修先を考える時にも、卒業した先輩にその病院のことを気軽に相談できる雰囲気があります。
面川:追試になってしまった子がクラスにいたら、クラス全員で授業をして助けてあげる、というようなことがよくありますね。チームワークはとても良いなって思います。
奥田:奈良医大は、県内唯一の医学部として奈良の地域医療を担わなければならないんですが、そのためにはローカルだけに目を向けていてはいけないということをよく言われます。地域医療に貢献するためにこそ、世界にも羽ばたけるような最先端の医療を実践できる場にしなければ、と。まさにグローカルを目指している大学だと思います。
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- 医師への軌跡:近藤 尚己先生
- Information:July, 2014
- 特集:留学 医学生よ、大海を知れ。
- 特集:臨床×カナダ 藤本 礼尚
- 特集:研究×USA 藤本 陽子
- 特集:MPH取得×タイ 座光寺 正裕
- 特集:MBA取得×USA 山本 雄士
- 特集:インタビュー 黒川 清
- 同世代のリアリティー:宗教者(僧侶) 編
- チーム医療のパートナー:歯科医師
- チーム医療のパートナー:歯科衛生士
- 10号-11号 連載企画 医療情報サービス事業“Minds”の取り組み(前編)
- 地域医療ルポ:兵庫県赤穂郡上郡町|大岩診療所 大岩 香苗先生
- 10年目のカルテ:神経内科 中嶋 秀樹医師
- 10年目のカルテ:神経内科 木下 香織医師
- 10年目のカルテ:神経内科 島田 斉医師
- 医師の働き方を考える:全ての医師が働き続けられる仕組みを作る
- 医学教育の展望:日本独自のエビデンスを作れる医師を育てる
- 大学紹介:筑波大学
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- 日本医科学生総合体育大会:東医体
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