協働的意思決定を行うということ
川上先生の思いと石田さんの思いが完全にすれ違っていたので、ちょっと会話に割り込んでしまいました。
びっくりしたー。
でも、山口先生が話を聴こうという姿勢で入っていっただけで、患者さんの表情がすっかり変わりましたね。
見ていて、自分は石田さんの気持ちを考えていなかったんだな、と痛感しました。どうやったら手術をすることに同意してもらえるか、ということで頭がいっぱいでした…。
「インフォームド・コンセント」が大事だと教えられているので、かえって「なんとかこちらが考えている治療方針に同意してもらおう」ということばかり考えてしまうのかもしれません。
良い気づきですね。「インフォームド・コンセント」を得るということが、形式だけになっては意味がありません。私は、一刻を争う場合を除けば、患者さんと医師が話し合いながら、共に治療方針を決めていくこと、すなわち「シェアード・ディシジョン・メイキング」が大事だと考えています。
日本語にすると、「共有された意思決定」ということでしょうか?
私たちこの分野の専門家は、「協働的意思決定」と訳すことが多いですね。専門知識を持ち、患者さんの身体に起きていることを客観的にアセスメントする能力を持つ医師と、様々な生活背景や価値観を持ち、治療の結果を引き受けていくことになる患者さんの両方が参加する形で、治療法を決めていこうという考え方です。
そういう考え方を持って接すれば、患者さんも自分の思いを伝えやすくなるんですね。
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