授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【前編】

札幌医科大学「地域医療合同セミナー1」

この企画では、学生から「面白い」「興味深い」と推薦のあった授業を編集部が取材し、読者の皆さんに紹介します!

地域医療の実情を知ることができる!

利尻島や留萌市、別海町など、大学から離れた地域医療の現場に赴きます。現地の病院の患者さんとコミュニケーションを取ったり、普段の生活における課題などを聴いたりして、地域医療の実情を知ることができます。

他職種の視点を知ることができる!

他学科の学生と共にグループ課題に取り組むため、様々な意見交換ができます。また、現地の医療や福祉に関わる方からも直接お話を聴くことができるため、低学年のうちから他職種の視点を知る貴重な機会となります。

コロナ禍でも現場の声を聴くことができる!

2020年以降は現地に行くことが叶わなかったため、グループごとで担当地域に関するテーマを学生自ら設定し、それをもとに地域スタッフへのオンラインインタビューを行い、最終レポートを書きあげました。

 

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(写真左)現地へ行くには、バスで一日近くかかることもあります。
(写真中央)他職種によるカンファレンスの見学もします。
(写真右)各グループの代表者が進行役を務め、インタビューを行いました。

 

授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【後編】

INTERVIEW 授業について先生にインタビュー

継続的な教育で、北海道から
地域医療のプロフェッショナルを育てたい

札幌医科大学は北海道公立大学法人として、「地域医療への貢献」が建学の精神にあり、地域医療に積極的に携わる医療人材を養成するというミッションを掲げています。とはいえ、多くの学生は都市部から来ているため、地域医療の実情を知りません。そこで、他の医療系学部と共に1年生から4年生が受講する地域医療合同セミナーでは、利尻島や留萌市、別海町など、医療人材が不足している地域と連携協定を結び、地域滞在型の実習を行っています。これらの地域では第一次産業が盛んに行われており北海道の経済を支えていますが、人口減少と高齢化が進んでいます。地域医療に貢献するためには、地域が抱えるこうした社会的課題への理解が欠かせません。

1年生はこの授業が必修で、半分ほどの学生が地域滞在実習に赴き、主に患者さんとのコミュニケーションや職員の方へのインタビューを行います。選択科目となる2年生、3年生になると、学生がより能動的に、実践に近い専門職連携を学びます。4年生では、パンフレットを作成することで、これまで積み上げてきた学習内容をまとめます。

この授業を通じて、患者さんや様々な職種との人間関係を築くためのパートナーシップも養われます。人間関係はケースバイケースであるため、「答えは簡単には出てこない」ものであるということを、実際に体験することが重要だと考えています。

質の高い医療者になるためには、「ここまでできればいいや」と妥協することなく、常に先を目指さなければなりません。一つのゴールを達成したら、またその次のゴールを設定し、とにかく上を目指していくという気持ちを、学生には常に持ち続けてほしいと思います。

相馬 仁先生
札幌医科大学 医療人育成センター 教授

 

 

学生からの声

地域医療に関する生の声を聴けました

2年 梨木 健斗
私は函館市の出身で、もともと北海道の地域医療に興味がありました。今回はリモートで、留萌市の地域特有の問題や、地域ぐるみで行われている高齢者の健康寿命を延ばすための企画などについてお話を聴きました。来年度以降はぜひ、実際に色々な地域に出向いてみたいです。

他学部の学生の意見が参考になりました

2年 桐生 玲奈
別海町の地域包括支援センターの高齢者への取り組みについて、他学部の学生と共にグループ学習をしました。医学生だけで話すと医師不足や設備不足などの問題に目を向けがちですが、保健医療学部の学生が患者さんのケアに関する意見を出してくれて、とても参考になりました。

地域と医療とのつながりを実感しました

2年 河野 稜太
留萌市の市立病院の院長の話を聴き、病院に行くための交通手段として公共交通機関が必須であるなど、地方公共団体とのつながりも重要であることに気付きました。地域医療は大変さもありますが、住民と距離が近いことがやりがいになりそうだと思いました。

 

※取材:2021年8月
※取材対象者の所属は取材時のものです。