FACE to FACE
福永 ゆりか×大神 絵理華
各方面で活躍する医学生の素顔を、同じ医学生が描き出すこの企画。今回は対談形式でお送りします。

福永(以下、福):私たちが運営に携わっていたTeam Medics (以下、Medics)は、日本にいる外国人の方々に英語で医療サポートを行うことを目指す医学生団体で、月に一度、医療英語の勉強会を開いています。また、医学生が多様な価値観に触れ、主体的に物事を考える機会となるよう、医療に限らず幅広い分野で活躍されている方々を招いた講演会も開催しています。
大神(以下、大):私は広報を務めていたのですが、4年次に代表を務めていたゆりかさんとは、共に様々な経験をしましたね。
福:絵理華さんはそもそも、どのようなきっかけでMedicsに入ろうと思ったのですか?
大:私は将来、医師として海外で働きたいと考えてMedicsに加入しました。ゆりかさんは?
福:私は、日本に来た外国の方にも快適に過ごしてほしいと思い、英語を学べる場を探していました。
Medicsはあくまで日本人の医学生たちが英語を勉強することを活動の中心としている団体なので、資格取得が目的だったり、ただ英語でコミュニケーションできるようになりたいだけだったりと、メンバーによって参加の動機は様々ですよね。
これまでの活動の中で、特に印象に残っている出来事は何ですか?
大:東京オリンピック・パラリンピックのボランティアに、Medicsの有志で参加したことです。選手村に設置された病院で、主に受付業務を行いました。どの科を受診すれば良いかわからないという方が多く、話を聴き取って医師につなぎました。
特に大変だったのは日本語も英語も通じない海外選手が相手のときでした。通訳の方に向け、医学用語を平易な言葉に言い換える役割も担いました。想像以上に大変でしたが、臨機応変に対応する力を育むことができたと思います。
また広報としては、コロナ禍でオンライン化を進めたことも印象に残っています。学内の縦のつながりが失われ、先輩からの紹介でやってくる新入生が減ったり、例年通りのような新歓ができなかったりと、様々な工夫が必要でした。
福:オンライン化は、遠方の参加者が増えたという利点もありましたね。海外の医学部に在籍中の日本人医学生が参加してくれたことも、刺激になりました。
また、講演会の現地開催ができなくなったため、Zoom取材をもとに記事を作成しホームページで公開するという形にしたところ、お子さんのいるがん患者の方や、LGBTQの方など、これまで以上に幅広い層の方にお話を伺うことができました。
大:これまでのMedicsは、東京オリンピック・パラリンピックを目標の一つとして活動を行ってきたので、当面の具体的な目標が持てないことは少し不安ではあります。しかし、今後も英語に興味がある様々な医学生が、友達や仲間を見つけられる場所として続いていってほしいと思います。
福:私たち自身も、Medicsでの活動で得た学びを今後に活かしていきたいですね。私は患者さんに対して言語の壁だけでなく、障害などに関する社会的なバリアも感じさせないような、多様性を尊重できる医師になりたいと思うようになりました。
大:私は、外国人の方にも日本人と差のない医療を提供できる医師になりたいという目標が明確になりました。また、いずれ海外でも勉強をしたいという思いも新たにしました。これからもお互い、目指す医師像に近づけるよう頑張っていきましょう。
大神 絵理華
埼玉医科大学6年
福岡県出身。西南学院高等学校卒。大学入学後よりTeam Medicsや関東医学部勉強サークルKeMAなどで、主に広報として積極的に活動。
外国人診療・地域医療・医療人類学に興味があり、将来は外国人を含む様々な背景を持つ人々を多角的に診られるような医師を目指す。趣味は旅行と読書。
福永 ゆりか
東京女子医科大学6年
神奈川県出身。東京女学館高等学校卒。2年生の春からTeam Medicsに合流し、医療英語の勉強会“Tokyo MEDS”や「医学部では学べないことを学ぶ」ことを目的とした“SOLA”の企画運営に参画、4年生では代表を務めた。多様な背景を持つ患者さんを診られる医師となることを目標とし、外国語学習などを継続中。
※取材:2022年6月
※取材対象者の所属は取材時のものです。



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