2023年2月20日
第6回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
一般の部【入選】
「Every day is a GIFT」
秋澤 真希子(38歳)埼玉県
念願の初めての妊娠。何をしていても味わったことのないような幸せや奇跡を感じる人生で最も特別なひと時になると思っていたのに......。
妊娠4ヶ月。
今まで大きな病気をしたことのない私ががん? しかも末期? よりにもよってなんで今なの? お腹の子はどうなるの? 子どもか自分か、どちらかを選ばなければいけなくなるの?
さらに手術は赤ちゃんと一緒に全身麻酔をして、上
どんどん大きくなる不安と無限に膨らむ悪い想像を何とか必死にコントロールするために、とにかくインターネットで情報収集する日々を送った。がんについて、手術について、術後の生活について、妊娠中のがん発覚、手術、投薬。そもそも上顎のがんでも非常に珍しいものだったこと、そして妊娠中の手術例が少ないこともあり、調べても調べてもほとんど満足な情報が得られず、とにかく様々な先進医療が可能な病院を急いで訪ね、手術のリスクと術後の生活の質について考えられる可能性を全て出して、結局手術を行うことを決心した。
妊娠7ヶ月。手術室に入ると、執刀してくださる
術後は喉近くまで切除したことで痛みが長引くものの、妊娠中なので痛み止めのお薬も飲めず、ただただ泣きながら痛みと辛いリハビリに耐える毎日だった。それでも、入院中毎日のように声をかけて、何度も何度も細かく義歯を調整してくださる先生方の心遣いにも救われた。何より、この子がいなければ耐えられなかったかもしれない、この子のためにも強くならないといけない、しっかり治してこれからも元気に育ててあげないと、という母親としての自覚、母親としての強さが確かに自分の中で大きく芽生えていくのを実感した。
手術をしてからもうすぐ4年になる今も、病院には定期的に通っていて、これからも再発や転移の心配はずっと消えることはないけれど、それでも無事に我が子を出産でき、こうして自分の手で我が子を抱きしめ子育てできていることは何よりの幸せで、奇跡でしかないと心から思う。子育て中の目まぐるしい日常の中では、自分ががんサバイバーであることすらふと忘れてしまいそうになることもあるけれど、今こうして笑って過ごせていることが決して当たり前のことではないということをがんのおかげで気づくことができた。がんが母としての私を強くしてくれたこと、そして毎日が贈り物であることに日々感謝をしながらこれからも生き続けていきたいと思う。
第6回 受賞作品
一般の部: 【 厚生労働大臣賞 】
【 日本医師会賞 】
【 読売新聞社賞 】
【 審査員特別賞 】
【 審査員特別賞 】
【 入選 】
【 入選 】
中高生の部:【 文部科学大臣賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
小学生の部:【 文部科学大臣賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】