2024年2月21日
第7回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
一般の部【日本医師会賞】
「天国からの贈り物」
坂野 和歌子(50歳)愛知県
拝啓
猛暑もようやく過ぎ去り、朝夕には秋の気配が感じられるようになりました。M先生、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
早いもので春香が旅立ち、3年を迎えようとしています。先生と春香との出会いは、2013年の秋でした。春香は激しい頭痛と
当時、小学6年だった春香は、術後、放射線治療や半年間に及ぶ抗がん剤治療を受け、以来、病と向き合う日々が始まりました。中学に入学してからは、学業と治療との両立に必死になって立ち向かい、その姿は、昨日のことのように目に浮かんできます。体調の回復には十分な時間が必要で、なかなか思うように登校できない日々に、次第に情緒も不安定になり、半年ほど不登校にもなりました。そんな状態の中でも、先生にお会いできる定期検診だけは、とても楽しみにしていました。診察日が近づくと、伝えたいことや、見てもらいたい制作作品などを考えていました。実際にお会いすると、それほど多くは語りませんでしたが、心の中ではとてもワクワクしていたように見えました。絵を描くことが大好きだった春香、きっと、自分の想いを表現した絵や作品を、大好きだった先生に見てもらいたかったのではないかと思います。手に取って、「おお、これはすごい!」と言って下さった時の春香の笑みは、喜びに満ち
高校生になると、「漫画家になる」という夢をもつようになり、目標に向かって努力する日々が始まりました。しかし、7年目に入ろうとする頃、診察室で先生から「再発の疑いがある」ことを告げられました。あの時ほど、春香との限りある時間を意識したことはありません。再び手術に挑み、成功したものの予告されていた通り右半身
「人の心に何かを刻みたい。」
「人の役に立ちたい。」
病床の枕もとで、春香は言葉が発せられなくなるまで
残暑なお厳しき折、どうぞお体を大切になさってください。先生の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
かしこ
坂野和歌子
令和5年9月9日
M様
第7回 受賞作品
一般の部: 【 厚生労働大臣賞 】
【 日本医師会賞 】
【 読売新聞社賞 】
【 審査員特別賞 】
【 審査員特別賞 】
【 入選 】
【 入選 】
中高生の部:【 文部科学大臣賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
小学生の部:【 文部科学大臣賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】