2024年2月21日
第7回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
中高生の部【優秀賞】
祖母の「ありがとう」が聞きたくて
奥田 杏(14歳)広島県
「可愛いなぁ。可愛いなぁ。」
祖母はいつも私にこう言ってくれました。生まれた病院で
今、私の祖母は要介護5です。9年前に若年性アルツハイマーと診断されました。若かったうえ、進行を止める薬が合わなかったため、診断されて早いうちに自分で歩いたり、食べたりという生活の全てにおいて介護が必要になりました。祖母の意思ははっきりしていて、できることなら施設にはまだ入りたくないという思いが強く、祖父も私たち家族もできるところまで家で生活してもらおうと決定しました。そこで、私と母が祖母の介護のために母の実家に住み、父は仕事と家があるので、家と母の実家を行き来する生活になりました。
祖母は一般に言われる
祖母は母と私で毎日お風呂に入るのが楽しみになっていました。母と私で祖母を抱えて湯船に浸り、女子三世代で楽しい会話タイムでした。
ちょうど2年前の夏に、ご飯を食べなくなりました。それまでも夕食だけに1時間半の時間はかかっていたのですが、その夏は夕食だけでも食べる時と食べない時があるので、3時間かけての夕食時間でした。食事介護をしている母も限界を感じていました。家での生活はもう無理だろうという時に、太ももとお尻の間に
祖母は毎日9時にデイサービスの職員さんが迎えに来てくれて4時に家に帰ってくるようになりました。毎日のお風呂は、私と母ではなくデイサービスの職員さんにお任せすることになりました。私は寂しかったですが、祖母は毎日昼に入浴でき、きれいにしてくれるため、楽で喜んでいるようです。祖母がデイサービスから家に帰ると、かかりつけのお医者さんや訪問看護師さんたちが毎日来てくれて体の調子と褥瘡の処置をしてくれます。少し調子の悪い時は、電話やLINEでどうしたら良いか、教えてくれるので家族みんな安心して祖母の介護ができています。
褥瘡が酷くなった時、病院や施設で見てもらうことを考えましたが、かかりつけ医の先生をはじめ、看護師さん、施設の職員の心からの支えと助言のおかげで、私たち家族は精神的にも肉体的にも救われ、祖母が望む家での生活ができています。介護は並大抵ではできません。しかし、家から祖母がいなくなったら、祖父も母もどうしたらよいか分からないと思います。今は、かかりつけ医の先生にたまに来てもらっているくらいで、訪問看護師さんには来てもらわなくて大丈夫なほど祖母は元気です。
私は昨年の春から、中学の寮に入って生活しています。長期休みに帰って祖母に会っています。母が言うには、私の食事介護なら張り切って口を開けるそうです。デイサービスの方たちも、お孫さんが帰ってきているから祖母がニコニコしていると言ってくれます。「可愛いなぁ。可愛いなぁ。」と今度は私が祖母に言います。祖母からは「ありがとう。」とだけは返事があります。これが聞きたくて何度も言ってしまいます。
かかりつけ医の先生、訪問看護師のみなさん、デイサービス職員のみなさん本当にありがとうございます。普段私が力になれない分、祖父や母の支えになり祖母を家で介護ができるようにお手伝いしていただき本当に感謝しかありません。もっともっと長い間、祖母の「ありがとう。」が聞きたいので、これからも私たちを支えてくださいますようどうぞよろしくお願いします。
第7回 受賞作品
一般の部: 【 厚生労働大臣賞 】
【 日本医師会賞 】
【 読売新聞社賞 】
【 審査員特別賞 】
【 審査員特別賞 】
【 入選 】
【 入選 】
中高生の部:【 文部科学大臣賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
小学生の部:【 文部科学大臣賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】
【 優秀賞 】