授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【前編】

今回は滋賀医科大学「医療イノベーションの基礎」

この企画では、学生から「面白い」「興味深い」と推薦のあった授業を編集部が取材し、読者の皆さんに紹介します!

ビジネスの視点やイノベーションを学べる!

この授業では、医療分野における新たな製品・サービス開発に必要なビジネスの視点やイノベーションを学びます。医療産業でどのようなことが求められているのか、新たな視点から捉えるきっかけになります。

様々な分野の先生の話が聞ける!

授業はオムニバス形式で、工学・デザイン・経営など、様々な専門性を持った先生がゲスト講師を務めます。幅広い考え方や視点に触れられるのはもちろん、異分野の方とのコミュニケーションスキルも学べます。

グループワークで活発な意見が飛び交う!

授業の多くがワークショップ形式で行われており、受け身にならず積極的に発言することが求められます。受講者同士で活発に意見交換を行うことで、自分だけでは気付かなかった視点を得ることができます。

 

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(写真左)取材時の授業は「デザイン思考×システム思考」がテーマでした。
(写真中央)ゲスト講師の先生ともコミュニケーションできます。
(写真右)付箋が台紙に貼りきれないほど、たくさんの意見が出ていました。

 

授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【後編】

INTERVIEW 授業について先生インタビュー

医療分野以外の多様な視点に触れてほしい

この授業は、文部科学省の「次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)」の一環です。医療分野では、医療従事者だけでなく、その活動を支える製品やサービスの開発や向上を担う周辺産業従事者も重要な柱です。そのため、周辺産業の仕組みを理解することは、医療と産業のスムーズな連携とさらなる発展につながります。医学生にもその素地を養ってもらおうと、この授業を始めました。

私は産学連携の推進に携わっています。医療現場の製品・サービス開発は、医療従事者の視点がきっかけとなる場合が多いです。もちろん専門家の視点は不可欠ですし、医療機器や薬品を改良したり新規に開発する場合には高度な実験や研究が必要です。しかし、医療従事者が現場で日常的に直面する困りごとに対しては、企業側の視点が活かせる場合も少なくないと考えます。例えば、それまで現場で既存製品を使って何とか対処してきたことに対し、企業がその解決に役立つ新しい製品を開発すれば、より多くの現場で同様の問題が解決できるようになります。このことは、患者さんにも良い影響を及ぼすと思うのです。このように、医療従事者とは別の視点を持つことで、困りごとの解決手段の選択肢が増えると私は考えます。

この授業では、こうした「もう一つの視点」を意識しながら、問題解決のために思考するプロセスを体験してもらいます。1~2年生を対象としたのは、専門知識を身につける前に、医療分野以外の多様な視点に触れてほしいという意図もあります。各回のワークショップで体験した思考や視点の数々が、将来臨床医や研究者になったときにも、発想の引き出しの一つになることを期待しています。

松浦 昌宏 先生
滋賀医科大学
研究戦略推進室
産学連携推進部門
特任教授

学生からの声

新たな価値観や発想が得られます

2年 西垣 敦司
他の授業とは違う、ワークショップを中心とした授業形態に惹かれて受講しています。授業を通して、自分の思考の癖や思考の枠組みの特徴を実感できますし、他の受講者の意見から新たな価値観や発想を得られるので、創造性に満ちていると感じます。

意見を発信する訓練になります

2年 浅野 菜々子
自由な雰囲気で、気軽に意見が出せる授業です。医学部にいるだけでは出会えない領域の先生方の見識に触れられますし、様々な年齢・経歴の受講者と共に学べるので、新たな視点が得られます。自分から意見を発信する訓練にもなり、刺激的ですね。

医療現場をイメージできます

2年 阿坂 玲
私は家族や親戚に医療関係者がいないため、医療分野の話をできるだけ多く聞いておきたいと思い、受講しました。授業では、各分野の先生から医療に関する幅広いお話が聞けるので、実際の現場の状況をイメージすることができ、とても興味深いです。

座学とは違った魅力があります

1年 高林 優太
僕は以前、他大学の商学部に在籍していました。医学部に入り、別の角度からもビジネスやイノベーションを学びたいと思い受講しました。他の講義は座学が多いので、身体を動かしながら意見交換できるこの授業はとても楽しいです。先生の人柄も魅力的です。