2020年2月6日
第3回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
小学生の部【優秀賞】
「ふんばる力の源は?」
横山 紗来(10歳)兵庫県
おじいさんの朝は、目覚めてすぐの「あいうえお発声」で始まります。次はベッドに座り、自己流乾布マッサージをしてから着替え。そして、
健康なら、朝の身支度に30分はかからないと思います。でも、わたくしのおじいさんには、脳内出血、心不全などの既往歴があり、今も、色々な病気とつき合っています。人工透析は今年で25年目ですし、目は年々見えにくくなり、耳もほとんど聞こえず、家族ではわたくしとおばあさんの声なら、何とか聞きとれています。左足にはマヒがありますし、ごえんもあるので、食事に時間がかかります。
そして昨年は、右足が
検査を終えて診察室に入ると、お医者様はおじいさんの右足を見て「ん?」という顔になり、じっくりと触っていました。そして、満面の笑みで「おそらく好転反応です!」と、おっしゃったのです。以前、右足人差し指をケガしましたが、血流が悪すぎてかさぶたもできず、2㎜くらいの穴が開いたままの傷に、
おじいさんは、人間「~したくない」ではできない。「~したい」と強く思えばがんばれる。自分は「欲」があるから、ふんばれる。「わしは歩きたい!」と、治療を選びました。
そこで悩んだのは、くつ下です。つま先にある横一線の縫い目がケガの場所と同じで、いつも当たってこすれます。母とわたくしは、リンキングという特殊なぬい目のくつ下を、大阪で見つけました。ぬい目が当たらず、歩きやすいと、おじいさんは喜んでくれました。
でもこの間、わたくしはおじいさんに雷を落としました。隠れて落花生を食べむせたのです。全く、この「欲」だけは困りものです。