患者と医師のより良い対話のために 医学生だからできること
Choosing Wisely Japan Student Committee
Choosing Wiselyとは、2011年に米国内科専門医認定機構(ABIM)財団から発足した、医師と患者の対話を促進することを目的とし、「過剰な検査、過剰な治療が行われていないか検証していこう」、「本当に適切な医療は何か共に考えていこう」というキャンペーンです。
このキャンペーンの背景には、過剰な医療行為、医療費の増大が世界的に問題視されていることがあります。現在、ABIMは各学会に対して、今までやってきた医療の中で無駄だと思われる「医師と患者が問い直すべき5つの項目」の提出を呼びかけています。
Choosing Wiselyには、米国では71もの学会が参画しており、米国以外では、日本を含む17か国が過剰診療や過剰治療のステートメントを公開し、それぞれの国の医療事情に合わせた展開を見せています。
個々の検査や治療が、診療ガイドラインに沿っているかどうかということだけでなく、患者の価値観に合った無駄のない医療であるか考えていくことは、医療資源の有効活用と医療提供の最適化につながる重要な課題です。
Choosing Wisely Japanは、医療費の高騰が避けられない日本でも同様に重要なキャンペーンであるため、多くの人を巻き込んだプロジェクトを展開する必要があると考えた小泉俊三先生、徳田安春先生などが立ち上げられました。
そして、私たち医学生も、医療の持続可能性について問題意識を持って、Choosing Wisely Japan Student Committeeとして活動しています。
まだ現場に出ていない医学生だからこそ持てる、患者さんに近い目線でその観点を発信することに価値があると思うからです。
私たちの活動では、「本当に適切な医療とは何か」、「患者が治療を選択することができ、医療者と共に決定していくためにはどういう仕組みが必要か」などのテーマにアプローチするほか、米国Choosing Wiselyの患者向けコンテンツを日本語訳し、各疾患の治療の選択肢について考えるきっかけを提供しています。
また、医学生の目線から、過剰医療の問題や、患者にとって本当に価値のある医療とは何か、ということについて、執筆活動や勉強会を行っています。
2016年11月5日に行われる日本プライマリ・ケア連合学会の第13回生涯教育セミナーでは、Choosing Wiselyについてセッションを行う予定です。
このセッションでは、このキャンペーンの歴史と概要を紹介するとともに、「患者にとっての最も望ましい医療」について、医師としてのプロフェッショナリズム(基本的価値観)に立ち返り、事例を通じて共に考えを深める予定です。
プライマリ・ケアの文脈で、医学生を含む様々なバックグラウンドの方とより発展的な議論を交わしたいと思います。活動にご関心のある方はご連絡ください。
担当:藤井 麻梨子、荘子 万能
Mail: ds111368[a]g.shiga-med.ac.jp([a]をアットマークに変えてください)
医学生の情報共有と知的交流ができる場を目指して
岡山医学生学会COMEs 代表/岡山大学 医学部 5年 大塚 勇輝
「医学部は勉強ばかりでつまらない…」と嘆いたり、「この面白そうなイベントが身近にもあったらなぁ…」と羨んだ経験はないでしょうか。私も以前は、医学部は狭くて刺激も少なく、何となくつまらないと感じていました。
しかし、とある学外の医学生研究集会で交流した他大学の学生の発表を聞き、同じ医学生とは思えない思考力と幅広い活動に感銘を受け、気持ちが変わりました。学外では様々な医学生が多様な活動をしていることを知り、このまま井の中の蛙として怠惰な学生生活を送ってしまうことに危機感を覚え、視野を広く持ちアンテナを高く保つ必要性を強く感じるようになりました。
そこで、「岡山医学生学会(Conference of Okayama Medical students、通称COMEs)」というサークルを2年前に設立しました。
COMEsは、メンバーが多くのことに目を向けるようになることが目的の団体で、医学部生を中心に30~40人が所属しています。連絡網で学内外のイベント情報等を共有し、各自が興味・関心に合わせて参加するきっかけを作っています。サークルになったことで様々な学生が所属するようになり、学年をまたいだ縦のつながりも生まれました。個人では限界のあった外部団体とのやり取りがしやすく、外部からの案内も入りやすくなりました。また、イベントを企画する際の同志集めも容易になり、これまでにサークル有志で「第1回全国生理学クイズ大会」や「中国・四国地区医学生学術交流会」などを主催してきました。
分野を超えた医学生間の交流は、その後の生活や勉学のモチベーションになります。今後もこのありそうでなかった新しいイベントの企画は続けていきたいです。
現在は、12月10日の「第5回医学研究学生フォーラム」開催に向けて、準備中です(医学生誰もが楽しく交流できる場を目指しています。参加者募集中です!)。
意識の高い医学生は多くいますが、自分のコミュニティ外のことを知る機会は意外と少ないものです。また、時間と距離の制約で交流できないでいる人も多くいるのではないでしょうか。日々の生活に忙殺され、近くに他の医学部もなく、他学部も別キャンパスという状況で、狭い医学部内で面白くないな、と思いながら学生生活を送っている人もいると思います。
現状の解決のためには、医学生が広い視野と高いアンテナを持ち、交流を深める“きっかけ”を提供する場作りが必要だと私は考えています。
私たちのサークル名を「医学生学会」としたのは、医学生が学会の様に集い、日々のモチベーションを得られる場を全国規模で作りたいという思いからです。
全国の医学生の誰もが立ち寄って相互に情報交換できるウェブ上のプラットフォームを作るのはどうでしょうか。皆様のご意見とご賛同をお待ちしております。
Mail: otsuka[a]s.okayama-u.ac.jp([a]をアットマークに変えてください)



- No.44 2023.01
- No.43 2022.10
- No.42 2022.07
- No.41 2022.04
- No.40 2022.01
- No.39 2021.10
- No.38 2021.07
- No.37 2021.04
- No.36 2021.01
- No.35 2020.10
- No.34 2020.07
- No.33 2020.04
- No.32 2020.01
- No.31 2019.10
- No.30 2019.07
- No.29 2019.04
- No.28 2019.01
- No.27 2018.10
- No.26 2018.07
- No.25 2018.04
- No.24 2018.01
- No.23 2017.10
- No.22 2017.07
- No.21 2017.04
- No.20 2017.01
- No.19 2016.10
- No.18 2016.07
- No.17 2016.04
- No.16 2016.01
- No.15 2015.10
- No.14 2015.07
- No.13 2015.04
- No.12 2015.01
- No.11 2014.10
- No.10 2014.07
- No.9 2014.04
- No.8 2014.01
- No.7 2013.10
- No.6 2013.07
- No.5 2013.04
- No.4 2013.01
- No.3 2012.10
- No.2 2012.07
- No.1 2012.04

- 医師への軌跡:大久保 ゆかり先生
- Information:Autumn, 2016
- 特集:保健の視点 人々の健康な生活を支える
- 特集:様々な場面における保健活動の実際
- 特集:地域における健康づくりの取り組み
- 特集:職場における健康づくりの取り組み
- 特集:誰もが自分の健康を主体的に獲得できる世の中へ
- 医科歯科連携がひらく、これからの「健康」① 口腔疾患の全身状態への影響
- 同世代のリアリティー:文系研究者 編
- NEED TO KNOW:山形県寒河江市「無事かえる」支援事業の取り組み
- 地域医療ルポ:熊本県熊本市|おがた小児科・内科医院 緒方 健一先生
- 10年目のカルテ:泌尿器科 眞砂 俊彦医師
- 10年目のカルテ:腎臓内科 岩永 みずき医師
- 10年目のカルテ:腎移植外科 岡田 学医師
- 医師の働き方を考える:医師の多様な働き方を受け入れる公衆衛生という職場
- 医学教育の展望:住民・行政と共に地域の未来を考える
- 医師会の取り組み:平成28年熊本地震におけるJMATの活動
- 大学紹介:金沢大学
- 大学紹介:東京女子医科大学
- 大学紹介:滋賀医科大学
- 大学紹介:長崎大学
- 日本医科学生総合体育大会:東医体
- 日本医科学生総合体育大会:西医体
- グローバルに活躍する若手医師たち:日本医師会の若手医師支援
- 第4回医学生・日本医師会役員交流会 開催報告
- 医学生の交流ひろば:1
- 医学生の交流ひろば:2
- FACE to FACE:廣瀬 正明×榛原 梓園