FACE to FACE
国際医療福祉大学 1期生鼎談
井上 敬貴×伊東 さら×ダン タン フイ
今回は、国際医療福祉大学の6年生(1期生)3名に、これまでの学生生活を振り返っていただきました。

井上(以下、井):私たちが1期生(2017年入学)として過ごした国際医療福祉大学の特徴は、何と言っても多様性です。帰国子女や留学生が多く、社会人経験者や他大学卒の方もいます。バックグラウンドが多様だからこそ、はっきり意見を言い合える、居心地の良い環境ですね。
伊東(以下、伊):私は帰国子女です。この大学は入学後2年間は大多数の授業が英語で行われると聞き、自分にぴったりだと思いました。1期生同士、違いを尊重し合える雰囲気があり、楽しく学生生活を送ることができました。
フイ(以下、フ):私はもともと母国のベトナムで1年間医学の勉強をしていました。この大学の奨学生の募集を見て、医療水準の高い日本で学べる良いチャンスだと思いました。留学生は東南アジア出身の人が多く、最初は皆日本語ができないので、言葉の壁は大きかったです。私は、2年生まで英語で行われていた授業が、3年生からCBTやOSCEのために日本語になったことに特に苦労しました。
井:1期生で試験の傾向もわからないので、本当に皆で協力しながら勉強してきましたよね。特に留学生は、母国語でない言語で、同期に医学の勉強を教えられるレベルにまでなっていて、すごいと思います。
フ:先生方も熱心で親しみやすく、カリキュラムや教育方法に対する意見もしっかり取り入れてくださいました。医学部1期生と先生方が一つのチームとして教育をアップグレードしていける雰囲気があるのは、新設の医学部だからかもしれません。
伊:身近なロールモデルがいないため、先の予測ができず、常に目の前のことを全力でやり続けなければならないという大変さはありました。ただそのぶん、やったことはしっかり形になっていくし、新しいことにチャレンジしやすい環境でもあると思います。
井:新歓パーティーなどの学校行事も学生主体で試行錯誤してきましたが、今では大学公認の活動として教職員に協力してもらいながら開催しています。また私は部活の立ち上げにも関わりましたが、練習場所の確保のために地域との関係づくりを行わなければならないなど、思わぬ苦労もありました。心が折れかけた時、同期に「これはまだ見ぬ後輩たちが入ってくる場所づくりなんだよ」と言われ、1期生はそういう役割も担っているのかとハッとしました。
フ:私は将来は母国に戻り、日本での学びを母国の医療に還元したいです。日本の友人を母国に呼んで講演してもらうという夢もあります。母国と日本を行き来しながら臨床経験を積むとともに、このつながりを財産に、両国の架け橋のような存在になりたいですね。
伊:私は、患者さんのバックグラウンドにかかわらず、幅広く対応できる医師になりたいと思っています。臨床実習で外国籍の患者さんに接することもありますし、海外での勤務経験のある先生方も多い環境なので、自ずと入ってくる海外の情報も多いです。こうした情報を臨床でも活かしたいですし、いずれは海外でも働いてみたいですね。
井:私は「目の前の人を助けることを諦めない」という思いを持って医師を志しました。この大学に入って、国籍や宗教、セクシャリティなどの多様さに触れ、「目の前の人」の対象が広がったと感じます。他人を尊重できる人、試行錯誤しながら新たなチャレンジをしたい人は、ぜひ私たちの後輩になってほしいなと思います。
井上 敬貴
国際医療福祉大学6年
宮城県出身。仙台青陵中等教育学校卒。中学・高校・大学を全て1期生として過ごすという稀有な学生生活を送る。大学ではバドミントン部の創部に携わり、初代主将として東医体初出場を果たした。学外活動にも精力的に取り組み、学生生活やインターン活動等によって得た仲間たちは一生の宝物となっている。将来は「全て」の病める人を救うことを諦めない医師を志す。座右の銘は「やらない後悔よりやる後悔」。
ダン タン フイ
国際医療福祉大学6年
ベトナム出身。ホーチミン市医科薬科大学を経て、特別奨学生として来日。大学に入学してからは勉強会を主催し、友人たちと一緒に日本語・英語での勉学に励む。医学生理学クイズ日本大会やTEDxにも挑戦。将来は日本とベトナムの架け橋となり、ベトナムの医療水準を向上させるために貢献したい。
伊東 さら
国際医療福祉大学6年
東京都出身。国際基督教大学高等学校卒。幼少期から高校入学まで日本・シンガポール・インドで過ごす。1期生として大学公認イベントの発案や、ヘルスケアベンチャーでのインターンに挑戦するなど、学内外で活動。将来は自らの経験やバックグラウンドを活かして、世界に羽ばたく人材になることを目指している。
※取材:2022年12月
※取材対象者の所属は取材時のものです。



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