現代の医師の仕事は、チームと切り離して考えることはできません。臨床であれ、研究であれ、行政であれ、様々な専門性を持つ、様々な職種の人たちとチームを組んで協働することが求められます。

チームで動ける医師を育てるため、医学部のカリキュラムには様々なチーム学習が組み込まれています。解剖実習や臨床実習、問題解決型のTBLなど正課の授業はもちろん、部活などの課外活動も、チームワークを学ぶ重要な場になっているでしょう。

今回の特集では、私たちがチームで働く時に、どのようにしてチームや活動の質を高めていけば良いのかを考えていきます。大学や高校時代の部活のこと、実習の仲間のこと、現場で見た医療チームの姿など、身近なチームを思い浮かべながら読み進めてみてください。

 

マネジメントに興味を持ったきっかけ

先生:今日は「チーム・マネジメント」に関する特別ゼミにようこそ。最初に、皆さんがこのゼミに参加した動機を、自己紹介を兼ねて教えてもらえますか?

阿部(以下、阿):私は公衆衛生や医療行政に関心があり、医療チームのマネジメントについて知りたいと思い参加しました。

板東(以下、板):私はサッカー部でキャプテンをしており、チームを強くするヒントが得られそうだと期待しています。

近本(以下、近):私は大した動機はないのですが、医師以外の先生の話も聴いてみたいなと思って選びました。

堂林(以下、堂):私は部活を2年生の時に辞めてしまい、正直チームで動くのもあまり得意な方ではないと思います。でも医師になったら、ずっと一人で動いているわけにもいかないので、チームで働くための考え方を学びたいと思って参加しました。

遠藤(以下、遠):この春から、臨床研修に向けた病院見学や説明会に参加しています。病院によって雰囲気も働きやすさも違いがあるように感じ、何かマネジメントに違いがあるのかもしれないと思って、このゼミをとってみました。

古田(以下、古):私の父は病院を経営しています。大きい病院ではないのですが、いつも「チームを動かすのは大変だ」と言っているのを聞いていました。それで私も、組織やマネジメントといった分野に漠然と興味を持つようになりました。

そもそもチームって?

先生:皆さんは、そもそもチームとはどういうものだと思いますか?

:漠然と、何人かが集まったものだと思っていました。

:集まるだけではなく、「一緒に何かしている」という意味もある気がします。

:確かに。チーム医療と言った場合、多職種で協力して、一人の患者さんにアプローチするイメージがありますね。

:それと、何人かといっても、ある程度の目安があるかもしれません。数百人単位というよりは、互いに顔が見えて、協力し合える程度の人数かな、と。

先生:ここまでの意見を総合すると、「協力して何かをする少人数の集まり」という感じですね。ところで皆さんは、授業でグループワークを行う機会も多いと思います。では、グループとチームには、何か違いがあると思いますか?

:「グループワーク」と「チームワーク」は、違う意味を持っていますよね。グループワークは、皆で一緒に課題をしたり、議論したりという意味ですが、チームワークは、メンバー同士が協力し合う姿勢を指しているような…。

:グループよりチームのほうが、より皆が協力し合っている印象を受けます。

先生:いいところに気付きましたね。それではここで、組織論という学問分野におけるチームの定義について紹介します。

ある組織論の研究では、グループとは、情報共有などを通じて互いに交流し、助け合いつつも、あくまで各自が自分の責任の範囲で業務を行うものとしました。最終的な成果は、各自の貢献の総和に過ぎません。一方でチームは、互いの能力や努力を補完し合い、相乗効果を起こしていくため、個人の総和を超えた成果をもたらすことができるとしています*。

もちろん、この定義が絶対的なものではありませんが、このゼミでは、「メンバー同士が互いの能力以上の結果を残すための、より良いチームのあり方」について考えていくことにしましょう。

:先生、ちなみに「組織」と「チーム」はどう違うのですか?

先生:ここでは、組織は「チームが集まったもの」くらいに捉えておいてください。例えば病院では、同時に数百人・数千人が、様々な部署やチームに分かれて動いていますね。部署やチームがばらばらに動くと困ってしまうので、それを統合・調整する仕組みが組織だと言えるでしょう。

 

X大学医学部 特別ゼミ
「チームで学ぶ、チームが学ぶ」

参加者一覧

阿部 敦子 3年生
板東 慎之助 4年生
近本 英梨 4年生
堂林 光 5年生
遠藤 翔太 6年生
古田 一彦 6年生

※このゼミや参加者の名前・学年は架空のものです。

 

* ロビンス(2009), pp.200-201

 

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